事故物件のリフォームは「原因の除去」と「見た目の回復」に分けて考える

まず直すべきは、においや汚れの原因が残っている部分です。
まず直すべきは、においや汚れの原因が残っている部分です。

特殊清掃とリフォームの違い

特殊清掃は、汚れや体液の除去、消臭、消毒、害虫の駆除など、部屋を衛生的な状態に戻す作業です。リフォームは、そのあとに傷んだ床材や壁紙、設備を交換・修繕し、住める状態に戻す工事です。発見が遅れた場合は、体液が床材の下の合板や、さらにその下まで染み込んでいることがあり、表面の清掃だけではにおいが消えないことがあります。特殊清掃の内容は特殊清掃とは?作業内容・遺品整理との違いで詳しく説明しています。

優先度1:においと汚れの原因を取り除く工事

  • 体液が染みた床材・下地(合板など)の撤去と交換
  • においが染み込んだ壁紙・石膏ボードの張り替え
  • 汚れが入り込んだ畳・カーペットの撤去
  • 浴室で亡くなった場合の浴槽・配管まわりの清掃や交換

これらは、売るにしても貸すにしても、においや衛生の問題を残さないために必要になることが多い工事です。とくにマンションやアパートでは、においや害虫がほかの部屋に広がると、近隣とのトラブルや他の入居者の退去につながりかねません。売り方が決まっていない段階でも、この部分だけは早めに手当てしておくほうが、結果として負担が小さく済むことがあります。

優先度2:見た目を新しくする工事

キッチンやトイレの交換、間取りの変更、部屋全体の内装の一新などは、部屋の印象をよくする工事です。効果はありますが、費用が大きくなりやすく、かけた費用の分だけ高く売れる・高く貸せるとは限りません。こちらは売り方を決めてから検討しても遅くありません。

事故物件のリフォーム費用の目安(部位別)

金額はあくまで目安です。物件の状態や時期、使う材料で大きく変わります。
金額はあくまで目安です。物件の状態や時期、使う材料で大きく変わります。

部位別の費用の目安

以下は一般的な住宅リフォームの目安です。物件の状態、使う材料、地域や時期によって大きく変わるため、実際の金額は必ず見積もりで確認してください。

工事の内容費用の目安
壁紙(クロス)の張り替え(6畳の部屋)4万〜8万円程度
床材の張り替え(6畳、フローリング)10万〜25万円程度
床の下地(合板など)の交換を含む場合上記に数万〜十数万円程度を追加
畳の撤去と床材への変更(6畳)15万〜30万円程度
トイレの交換15万〜40万円程度
ユニットバスの交換60万〜150万円程度
キッチンの交換50万〜150万円程度

費用が増えやすい要因

  • 体液が床下や下の階の天井まで達している
  • においが建具や収納の内部まで染み込んでいる
  • 建物が古く、工事を始めてから配管や構造の傷みが見つかる
  • マンションで、管理規約により工事の時間や材料に決まりがある

計算例:1Kの部屋の場合

計算例:発見が遅れた1Kの部屋で、床の下地交換を含む床の張り替え、部屋全体の壁紙の張り替えを行う場合(仮の数字)、特殊清掃とは別に、床まわりで20万〜35万円程度、壁紙で5万〜10万円程度、合わせて25万〜45万円程度がひとつの見当になります。浴室やキッチンの交換が加わると、さらに大きく増えます。特殊清掃そのものの費用は孤独死の特殊清掃の費用相場をご覧ください。

リフォームしても事故物件の告知は必要

リフォームは部屋をきれいにしますが、起きた事実を消すものではありません。
リフォームは部屋をきれいにしますが、起きた事実を消すものではありません。

「きれいにすれば告知はいらない」は誤解

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、自殺や他殺、発見が遅れて特殊清掃や大規模なリフォームが行われた孤独死などは、告知の対象とされています。つまり、大規模なリフォームを行ったこと自体が、告知が必要な事案であることを示す一つの事情になっています。内装をすべて新しくしても、告知の必要がなくなるわけではありません。

告知の期間の目安

ガイドラインでは、賃貸の場合、事案の発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)からおおむね3年が経過すれば、原則として告知は不要とされています。売買には期間の目安が示されていません。また、事件性・周知性・社会的影響が大きい事案は、期間にかかわらず告知が必要とされる場合があり、買主・借主から聞かれた場合は告げる必要があります。詳しくは事故物件の告知義務は何年で消える?をご覧ください。

リフォームの記録は「安心材料」になる

一方で、どこまで工事をしたかを具体的に示せることは、買主や借主の不安を和らげる材料になります。特殊清掃の作業報告書、交換した部位と工事の写真、工事の見積書や請求書は、売却や募集のときに見せられるよう保管しておきましょう。「床の下地まで交換しました」と書面で説明できるかどうかで、相手の受け止め方は大きく変わります。

売却前のリフォームは「やりすぎ」で損をしやすい

リフォーム費用は、売却価格にそのまま上乗せされるとは限りません。
リフォーム費用は、売却価格にそのまま上乗せされるとは限りません。

かけた費用が回収できるとは限らない理由

事故物件は、リフォームをしても告知が必要な事案であることに変わりはなく、価格が下がる要因は残ります。また、買主にはそれぞれ好みがあり、「自分で好きなようにリフォームしたい」と考える人も少なくありません。そのため、売る前に大きな費用をかけても、その分だけ売却価格が上がるとは限らないのです。

計算例:リフォームして売るか、そのまま売るか

計算例:次のような見込みがあったとします(すべて仮の数字です)。

項目リフォームして売るそのまま売る
売却価格の見込み1,200万円1,000万円
リフォーム費用250万円0円
売れるまでの期間の費用(税金・管理費など)30万円(工事期間を含む)10万円
手取りの目安920万円990万円

この例では、リフォームで売却価格が200万円上がっても、費用と期間を差し引くと、そのまま売るほうが手取りは多くなります。実際の数字は物件によって違うため、リフォームの前に「そのまま売った場合」の査定を受けて比べることが大切です。

買取なら売主のリフォームは原則不要

買取業者に売る場合は、業者が買い取ったあとに自社でリフォームを行うため、売主がリフォームをする必要はほとんどありません。特殊清掃前や家財が残ったままでも買い取る業者もあります。仲介で売るか買取で売るかを先に決めることが、リフォームの無駄を防ぐ近道です。比べ方は事故物件は売れる?売却価格の相場と高く手放すコツをご覧ください。

賃貸に出す前のリフォームの考え方(オーナー向け)

賃貸では、家賃の下がり幅と空室期間も含めて工事の範囲を決めます。
賃貸では、家賃の下がり幅と空室期間も含めて工事の範囲を決めます。

賃貸では「住める状態」に戻すことが前提

賃貸に出す場合は、借主がすぐに暮らせる状態に戻す必要があるため、売却よりもリフォームの範囲は広くなりがちです。においの原因を取り除く工事に加えて、一般的な退去後の原状回復と同じように、壁紙や床、設備の状態を整えます。

費用の回収は「家賃×期間」で考える

事故のあった部屋は、告知のうえで家賃を下げて募集するのが一般的です。たとえば、リフォームに100万円かけ、家賃が月5万円の場合、単純計算では20か月分の家賃で回収することになります(計算例)。家賃をどのくらい下げるか、空室がどのくらい続くかによって、回収の期間は大きく変わります。家賃設定と募集の工夫は事故物件の賃貸募集と家賃設定で解説しています。

賃貸では、事故のあった部屋も「おおむね3年」がたてば原則として告知不要になるという目安があるため、長く貸し続けるつもりなら、設備まで新しくして入居者に選ばれやすくする考え方もあります。反対に、建物全体が古く、数年のうちに売却や建て替えを考えているなら、工事は必要最低限にとどめるほうが合理的です。今後の経営の見通しとあわせて、工事の範囲を決めましょう。

原状回復費用の請求との関係

入居者が亡くなった場合の原状回復費用を、相続人や連帯保証人にどこまで請求できるかは、契約の内容や事案によって変わります。通常の使用による傷みや経年劣化は、原則として貸主の負担という考え方が国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で示されています。請求できる範囲は賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?を参考にし、判断が難しいときは弁護士に相談してください。

リフォームを頼むときの注意点

見積書の内訳を確かめ、事故物件の工事に慣れた業者を選びましょう。
見積書の内訳を確かめ、事故物件の工事に慣れた業者を選びましょう。

特殊清掃とリフォームの業者は分けてもよい

特殊清掃からリフォームまで一括で請け負う業者もあれば、清掃とリフォームを別の業者に頼む方法もあります。一括のほうが連絡の手間は減りますが、費用の内訳が見えにくくなることがあります。どちらの場合も、どこまでが清掃の費用で、どこからがリフォームの費用かがわかる見積書をもらいましょう。

事故物件の工事に慣れていない業者だと、においの原因になっている下地を残したまま表面だけを新しくしてしまい、しばらくしてにおいが戻ってくることがあります。見積もりの段階で、においの原因をどう確かめ、どこまで撤去するのかを具体的に説明してくれる業者を選ぶと安心です。

見積書で確認したいこと

  • 工事する部位と面積、使う材料が書かれているか
  • 床の下地の交換など、開けてみないとわからない工事の扱い(追加費用の条件)
  • 廃材の処分費が含まれているか
  • 工事期間と、マンションの場合は管理組合への届出を誰が行うか

相続放棄を考えている場合は工事を急がない

相続放棄は、相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。その前にリフォームなどで家に手を加えると、相続財産の処分とみなされ、放棄ができなくなるおそれがあります。近隣への被害を防ぐための最低限の対応がどこまで許されるかも状況によるため、工事の前に弁護士・司法書士に確認してください。

次に何をすればいいか:工事の前に売り方を決める

リフォームするかどうかは、査定を受けてから判断しても遅くありません。
リフォームするかどうかは、査定を受けてから判断しても遅くありません。

判断の順番

  1. 特殊清掃で、においと衛生の問題を解決する(必要な範囲で)
  2. 売るか貸すかを決める(売るなら仲介か買取か)
  3. そのままの状態で査定を受け、リフォームした場合の見込みと比べる
  4. 必要な工事だけを、内訳のわかる見積もりで依頼する

迷ったら「何もしない状態」の価格を知る

リフォームにいくらかけるべきかは、「何もしないで売ったらいくらか」がわかって初めて判断できます。査定の仕組みは事故物件の査定で解説しています。

株式会社GEEZのご案内

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を当社が直接買主となって買い取っています。リフォームをしていない状態、特殊清掃前、遺品や家財が残ったままの状態でもご相談いただけます。契約不適合責任は免責で、チラシやポータルサイトに載せないため、近所に知られずに進められます。リフォームに費用をかけるべきか迷っている段階でも、まずは現状でいくらになるかを確かめてください。査定・相談は無料、秘密厳守です。相談フォームまたはお電話(06-7777-4333/10:00〜19:00、水・日定休)でご連絡ください。