遺品が残ったままでも売れる?結論と全体像

仲介ではふつう「空にして」引き渡す
一般の買主に売る仲介では、引き渡しまでに家の中を空にするのが基本です。買主は自分で住むために買うため、前の住人の家財が残っていると困るからです。内覧の前に片付けておかないと、買主も見つかりにくくなります。
買取なら「そのまま」で引き取れる場合がある
不動産会社が自ら買主になる買取では、家財や遺品が残ったままの状態で契約し、処分は買取会社が行う、という取り決めにできることがあります。その分の費用は買取価格に反映されますが、遺族が業者を手配したり、何度も現地に通ったりする負担がなくなります。
どちらがよいかは「時間・費用・気持ち」で決める
| 比べる点 | 自分で片付けてから売る | 残したまま買取に出す |
|---|---|---|
| 手間 | 業者の手配・立ち会いが必要 | 大きく減らせる |
| 費用 | 片付け費用を先に払う | 価格に反映される(先払いが要らない場合が多い) |
| 期間 | 片付けの分だけ長くなる | 短くできる |
| 形見分け | 時間をかけて選べる | 契約前に取り出しておく必要がある |
遠方に住んでいる方や、現場に入るのがつらい方は、残したまま売る方法を検討する価値があります。
「片付けが終わるまで売れない」と思い込まない
遺族の多くは、まず家を空にしなければと考え、片付けに何か月もかけてしまいます。その間も固定資産税や電気・水道の基本料金はかかり、空き家の管理の手間も続きます。片付けを始める前に、残したまま売る場合の価格も聞いておくと、無駄な出費を避けやすくなります。
家財を残したまま売る方法は、実家が遠方にある方、高齢で片付けの体力がない方、亡くなった部屋に入るのがつらい方にとって、負担を大きく減らせる選択肢です。一方で、時間をかけて形見を選びたい方は、片付けてから売る方法が向いています。どちらが正しいということはなく、ご家族の状況に合わせて選んでかまいません。
残置物(家財・遺品)の扱いの基本

家財も相続財産になる
家の中の家具・家電・衣類・書類なども、亡くなった方の財産です。相続が起きると、家と同じように相続人のものになります。相続人が複数いる場合は、勝手に一人で処分せず、ほかの相続人と話し合ってから進めるのが原則です。
先に取り出しておくもの
買取に出す場合も、次のものは契約前に取り出しておきましょう。
- 通帳・キャッシュカード・印鑑・保険証券・年金関係の書類
- 不動産の権利証(登記識別情報)や固定資産税の通知書
- 家を買ったときの売買契約書(売却の税金計算で必要になる)
- 写真・手紙・位牌など、お金に換えられない思い出の品
- 貴金属や骨董品など、価値がありそうなもの
家を買ったときの契約書は、売却の税金を計算するときに役立ちます。詳しくは事故物件の売却にかかる税金をご覧ください。
特殊清掃が必要な部屋は無理に入らない
発見が遅れた部屋では、においや体液の影響で衛生上の注意が必要です。形見を探すために無理に入らず、清掃業者や買取会社に「探してほしい物」を伝えて取り出してもらう方法もあります。清掃については特殊清掃とはで解説しています。
相続人が遠方に住んでいる場合や、兄弟で分担がむずかしい場合は、取り出してほしい物のリストを作り、作業する会社に渡す方法もあります。見つかった物は写真で確認してから送ってもらう、といった進め方ができる会社もあります。
家財の中には、亡くなった方の借金や契約を知る手がかりになる書類も含まれます。クレジットカードの明細、ローンの返済予定表、督促状などです。相続放棄をするかどうかの判断材料になるため、捨てずにまとめて保管しておきましょう。
相続放棄を考えている人は家財に触れる前に注意

家財の処分は「相続を認めた」とみなされることがある
相続放棄は、相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(期間の伸長を申し立てることもできます)。この間に家財を売ったり捨てたりすると、民法921条の「法定単純承認」にあたり、相続を承認したものとみなされることがあります。そうなると、借金も含めて相続することになります。
やってよいこと・控えるべきことの目安
| 行為 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 家の売却・家財の売却 | 処分にあたるため控える |
| 価値のある家財をまとめて廃棄 | 処分とみなされるおそれがあるため控える |
| 腐敗物の除去など、衛生のための最小限の対応 | 保存行為と考えられる場合があるが、事前に専門家へ確認 |
| 写真や手紙など、経済的価値のない形見の持ち帰り | 問題にならないことが多いが、事前に確認 |
どこまでが許されるかは状況で判断が分かれます。必ず弁護士・司法書士に確認してから動いてください。
放棄した後も「保存義務」が残る場合がある
2023年4月に施行された改正民法940条では、相続放棄の時に相続財産を現に占有している人は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、その財産を保存する義務があるとされました。同居していた家族などが対象になりえます。放棄の判断は親が孤独死したら相続放棄すべき?で詳しく解説しています。
相続放棄をする場合でも、亡くなった方の家財をどう保管するか、家の鍵を誰が持つかといった問題は残ります。放棄をした後に家財を勝手に処分してよいわけではありません。次の相続人がいない場合は、家庭裁判所に相続財産清算人を選んでもらう手続きが必要になることもあります。このあたりは判断がむずかしいため、弁護士・司法書士に流れを確認しておきましょう。
片付け費用の目安と、売却価格との関係

遺品整理・特殊清掃の費用は幅が大きい
遺品整理の費用は、間取りよりも物の量と、運び出しやすさ(階段のみの建物か、トラックを近くに止められるか)で変わります。特殊清掃が必要な場合は、その分の費用が加わります。目安は物件や時期で変わるため、遺品整理の費用相場や特殊清掃の費用相場で幅を確認し、必ず見積もりを取ってください。
「片付け費用」と「価格の差」を比べる
計算例:片付けてから売ると1,000万円、残したまま買取だと900万円の提示だったとします。片付けと清掃の見積もりが80万円なら、手元に残る金額の差は20万円です。この差と、片付けにかかる時間・手間・気持ちの負担を比べて決めます。
家財に価値があれば相殺できることも
家具・家電・骨董品などに買取価格がつくものがあれば、片付け費用と相殺できることがあります。古物商の許可を持つ会社なら、家財の買取と回収をあわせて行えます。ただし、古い家具や家電は値がつかないことも多いため、期待しすぎないようにしましょう。
片付け業者を選ぶときの注意
遺品整理や特殊清掃の業者を選ぶときは、見積書に作業内容と処分費が分けて書かれているかを確認します。家庭から出るごみを運ぶには、市区町村の一般廃棄物収集運搬の許可(または許可業者への委託)が必要です。見積もりより大幅に高い請求をされた、貴重品を勝手に処分された、といったトラブルを防ぐため、契約前に書面で内容を確認してください。業者の選び方は特殊清掃業者の選び方で解説しています。
なお、片付け費用を売却代金から精算できるかどうかは、売り方によって違います。仲介では売主が先に業者へ支払うのがふつうですが、買取では処分費を見込んだ価格を提示し、売主が別に支払わないで済む形にできることがあります。どちらの形かを契約前に確認しておくと、手元の資金の心配が減ります。
よくある誤解と契約時の注意点

「そのまま」の範囲を書面で決める
「家財はそのままでよい」と口頭で言われても、どこまでを含むのかがあいまいだと、後でもめる原因になります。物置や庭の物、エアコンや照明器具、車庫の車などをどうするか、契約書や覚書に書いてもらいましょう。
賃貸の部屋の残置物は別の話
亡くなった方が賃貸住宅に住んでいた場合、家財の撤去は大家さんとの賃貸借契約の問題になり、売却とは関係ありません。国土交通省は、単身の高齢者の入居に備えた「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。賃貸の場合の費用負担は賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?をご覧ください。
家財があっても告知は必要
家財の有無と、事故の告知は別の問題です。自殺や、発見が遅れて特殊清掃をした死亡などは、買主に告げる必要があります。家財ごと売る場合も、亡くなった状況はわかる範囲で正直に伝えてください。
仏壇・位牌・遺影の扱い
仏壇や位牌は、処分する前に菩提寺に相談し、閉眼供養(魂抜き)をしてから整理するご家庭が多くあります。どうするかは宗派や家の考え方で違うため、決まった正解はありません。買取に出す場合でも、仏壇まわりの物は先に家族で扱いを決めておくと、後悔が少なくなります。供養やお祓いについては事故物件のお祓い費用の相場も参考にしてください。
車やバイクが残っている場合は、名義変更や廃車の手続きが別に必要です。家財と一緒に引き取ってもらえるかは会社によって違うため、事前に確認してください。
次に何をすればいいか

1. 相続放棄をするかを先に決める
借金がありそう、疎遠だった親族の家だった、という場合は、家財に手をつける前に弁護士・司法書士に相談してください。
2. 取り出す物のリストを作る
通帳・権利証・契約書・形見の品など、残しておきたい物を家族で書き出しておくと、作業が早く進みます。
3. 片付ける前に査定を受ける
片付けてから売るのと、そのまま買い取ってもらうのとで、手元に残る金額がどれくらい違うかを比べましょう。株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を当社が直接買い取る不動産会社です。特殊清掃前や遺品・家財が残ったままでもご相談いただけ、古物商許可にもとづいて家財の回収も行えます。査定・相談は無料で、秘密は守ります。無料査定・相談フォームからご相談ください。
家財が多い、どこから手をつけてよいかわからない、という段階でのご相談も多くいただきます。残したまま売る場合と片付けてから売る場合のどちらがよいか、物件の状態を見たうえで一緒に考えます。相続放棄を検討されている場合は、専門家に確認していただいてから進めますので、まずは状況をお聞かせください。
片付けを始める前の確認リスト
- 相続放棄をするか決めたか(迷うなら専門家に相談)
- 相続人全員が売却や片付けに同意しているか
- 取り出したい物のリストを作ったか
- 片付けてから売る場合と、残したまま売る場合の両方の見積もりを取ったか









