相続した事故物件で兄弟が揉めるのはなぜ?よくある対立のパターン

よくある意見の対立
| よくある意見 | 背景にある事情 |
|---|---|
| 「早く売って分けたい」 | 遠方に住んでいて管理できない。固定資産税や清掃費を負担したくない |
| 「まだ売りたくない」 | 親の思い出がある。事故のことが気持ちの中で整理できていない |
| 「自分が住みたい・使いたい」 | 近くに住んでいる。実家を守りたいという思いがある |
| 「安く売るのは納得できない」 | 事故物件で価格が下がることを受け入れにくい |
| 「費用を出したのは自分だ」 | 特殊清掃・葬儀・遺品整理の費用を一部の兄弟だけが立て替えている |
事故物件ならではの揉めやすさ
事故物件の相続では、ふつうの相続に比べて揉めやすい事情が重なります。まず、特殊清掃や遺品整理など、すぐに必要なお金が出てきます。誰が払うかを決めないまま一人が立て替えると、不公平感が残ります。次に、売却価格が相場より下がりやすいため、「もっと高く売れるはず」という兄弟と、「早く手放したい」という兄弟で意見が割れます。さらに、亡くなった状況について、近くに住んでいた兄弟が責められるような空気になり、感情的な対立に発展することもあります。
まずは「何で揉めているのか」を分けて考える
揉めているときは、問題がひとかたまりに見えがちです。しかし実際には、「家を売るか残すか」「売るならいくらで、いつ売るか」「立て替えた費用をどう精算するか」「ほかの遺産をどう分けるか」と、いくつもの問題に分けられます。紙に書き出して、合意できていること・できていないことを分けるだけでも、話し合いが進みやすくなります。
また、亡くなった親の発見が遅れたことについて、「近くにいたのに」と特定の兄弟を責めるのは避けましょう。一人暮らしの方が自宅で亡くなることは、どれだけ気をつけていても起こり得ます。責める言葉が出ると、家の話し合いそのものが進まなくなります。家の問題と気持ちの問題は分けて考えることが、結果的に全員の負担を減らします。
遺産分割の4つの方法:事故物件は「換価分割」がまとめやすい

遺産分割の4つの方法
| 方法 | 内容 | 事故物件での向き不向き |
|---|---|---|
| 現物分割 | 家は長男、預金は次男のように、遺産をそのまま分ける | 家と釣り合うほかの遺産がないと不公平になりやすい |
| 代償分割 | 家を1人が相続し、ほかの兄弟にお金(代償金)を払う | 住みたい人がいて、代償金を払えるなら向く。家の価格の決め方で揉めやすい |
| 換価分割 | 家を売り、代金を分ける | 公平に分けやすい。事故物件では最もまとまりやすい方法の一つ |
| 共有分割 | 家を兄弟の共有名義にする | 一時的には楽だが、後で売るときに全員の同意が要り、問題を先送りしやすい |
換価分割がまとまりやすい理由
事故物件では、誰かが住み続けたいと考えるケースはあまり多くありません。また、家の価値をいくらと見るかで揉めると、代償分割の金額も決まりません。家を売ってお金に換え、そのお金を相続分に応じて分ける換価分割なら、実際に売れた金額で分けるため、価格の見方の違いで揉めにくくなります。清掃費や売却にかかった費用を代金から先に差し引いて精算する、という取り決めもしやすくなります。「思い出のある家を手放すのはつらい」という兄弟がいる場合は、売る前に家族で家に集まり、形見分けやお別れの時間をとるのも一つの方法です。
換価分割の進め方
換価分割では、遺産分割協議書に「この家を売却し、売却代金から費用を差し引いた残りを、各相続人が○分の1ずつ取得する」といった内容を書きます。登記は、代表者1人の名義にしてから売る方法と、法定相続分どおりに共有名義で登記してから全員で売る方法があります。代表者名義にする場合、税金の扱いで誤解が生じないよう協議書の書き方が大切です。協議書の作成と登記は司法書士に、税金は税理士に確認してください。売却の税金は事故物件の売却にかかる税金で解説しています。
話し合いがまとまらないときは家庭裁判所の遺産分割調停へ

遺産分割調停とは
兄弟の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合や、話し合いに応じない兄弟がいる場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることができます。調停では、裁判官と調停委員が間に入り、それぞれの言い分を聞きながら、合意をめざして話し合いを進めます。顔を合わせて直接言い合う必要がないため、感情的になっている場合でも話を進めやすくなります。
調停は、相続人の1人または何人かが、ほかの相続人全員を相手方として申し立てます。申立先は、原則として相手方のうちの1人の住所地を受け持つ家庭裁判所か、当事者が合意で決めた家庭裁判所です。必要な書類や費用は裁判所のページで案内されているので、申し立てる前に確認してください。
調停で合意できなければ審判へ
調停でも合意できない場合は、審判という手続きに移り、裁判官が分け方を決めます。審判では、家を売って代金を分けるよう命じられることもあります。調停や審判には時間がかかるため、その間も固定資産税や家の管理の負担は続きます。空き家のまま長く置くリスクは事故物件の空き家を放置するリスクで解説しています。手続きの進め方や見通しについては、弁護士に相談してください。
相続から10年がたつと主張できることが限られる
2023年4月1日に施行された改正民法では、相続開始から10年を過ぎると、原則として「生前に多くもらった(特別受益)」「介護で貢献した(寄与分)」といった主張ができなくなり、法定相続分などで分けることになるルールができました。「親の介護をしていたのだから多くもらいたい」と考えている場合は、話し合いを先送りにしないことが大切です。具体的な扱いは弁護士に確認してください。
共有名義のまま放置するリスク:売りたくても売れなくなる

売るには共有者全員の同意が必要
話がまとまらないので、とりあえず兄弟の共有名義にしておく——これはよくある選択ですが、問題の先送りになりがちです。家全体を売るには、原則として共有者全員の同意が必要です。1人でも反対したり、連絡が取れなくなったりすると、家全体は売れません。また、固定資産税は共有者全員が連帯して払う義務を負うため、「自分は住んでいないから払わない」という兄弟がいると、ほかの兄弟が立て替えることになります。
次の相続で共有者が増える
共有者の1人が亡くなると、その持分はその人の配偶者や子どもに相続されます。兄弟3人の共有だった家が、10年後には甥や姪を含めた5人、6人の共有になることもあります。人数が増えるほど、全員の同意を得るのは難しくなります。相続登記は2024年4月1日から義務化されているため、共有者が増えるたびに登記の手間もかかります。連絡先がわからない親族が共有者に加わると、話し合いそのものが始められないこともあります。共有の状態が長く続くほど、家の傷みも進み、結果として売れる価格も下がっていきます。
共有を解消する方法
共有になった家は、共有者のだれでも共有物分割請求を求めることができ、話し合いでまとまらなければ裁判所に分割を求めることもできます。ほかの共有者に持分を買い取ってもらう、全員で合意して売る、という方法もあります。共有名義の事故物件の扱いは共有名義の事故物件、自分の持分だけ売れる?で詳しく解説しています。
どうしても合わないときは「自分の持分だけ売る」という選択肢

持分は単独で売れる
家が兄弟の共有名義になっている場合、自分の持分だけなら、ほかの兄弟の同意がなくても売ることができます。「話し合いに疲れた」「早く関係を清算したい」という場合の現実的な選択肢です。ただし、持分だけを買っても家全体を自由に使えるわけではないため、買い手は限られ、価格は家全体を売った場合の持分相当額より低くなるのが一般的です。
持分を売る前に考えたいこと
- まだ遺産分割が終わっていない場合、持分の扱いが複雑になるため、司法書士・弁護士に確認する
- 先にほかの兄弟に「持分を買い取ってもらえないか」と打診する
- 持分を第三者に売ると、兄弟との関係にしこりが残ることがある
- 立て替えた費用の精算をどうするか、売る前に整理しておく
遺産分割が終わっていなくても、相続人の1人が法定相続分どおりの共有の相続登記を申請することはできます。その登記をしたうえで自分の持分を売る、という進め方が考えられますが、あとで遺産分割をしたときの扱いなど注意点もあるため、司法書士・弁護士に確認してから進めてください。
立て替えた費用は記録を残しておく
特殊清掃や遺品整理、葬儀の費用を一部の兄弟が立て替えている場合、あとで精算するときに領収書や見積書が必要です。誰が、いつ、何に、いくら払ったかを記録しておけば、遺産分割のときに主張しやすくなります。特殊清掃の費用の考え方は孤独死の特殊清掃の費用相場は?誰が払うのかをご覧ください。
次に何をすればいい?兄弟で共有できる「物差し」を用意する

実際にいくらで売れるかを知る
兄弟の意見が割れる大きな原因は、「家にいくらの価値があるのか」の見方が人によって違うことです。そこで役に立つのが、査定額という共通の物差しです。実際に売れる金額の目安がわかれば、「売って分ける」「誰かが買い取る」「持分だけ売る」のどれが現実的か、全員で同じ前提に立って考えられます。事故物件の価格の考え方は事故物件はどれくらい安くなる?で解説しています。
株式会社GEEZにできること
株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件・相続物件・共有持分の買取を行っており、当社が直接買主になります。家全体の買取はもちろん、共有持分だけのご相談にも対応しています。特殊清掃の前でも、遺品や家財が残ったままでもご相談いただけ、古物商許可があるので家財の回収も行えます。契約不適合責任は免責で買い取るため、売ったあとに兄弟の誰かが責任を問われる心配を減らせます。
相談は無料・秘密厳守
「兄弟にはまだ話していない」「まず相場だけ知りたい」という段階でもかまいません。査定・相談は無料で、秘密は厳守します。チラシやポータルサイトに載せないため、近所に知られずに進められます。お電話(06-7777-4333、10:00〜19:00、水・日定休)か相談フォームからご連絡ください。法律上の判断が必要な場合は、弁護士・司法書士・税理士への相談もあわせてご検討ください。









