事故物件はどれくらい安くなる?死因別の値下げ率

死因別の値下げ率の目安(売買)
| 死因・状況 | 通常相場からの値下げ率 |
|---|---|
| 自然死・病死(早期発見) | ほぼ影響なし(告知不要) |
| 孤独死(特殊清掃あり) | 1〜3割程度 |
| 自殺 | 2〜4割程度 |
| 他殺・事件 | 4〜5割以上 |
| 報道された重大事件 | 5割以上、買い手がつきにくいことも |
これは一般の買主に仲介で売る場合の目安です。実際には、立地・築年数・建物の状態・事故からの経過年数などによって大きく変わります。人気エリアの土地であれば、事故物件でも値下げ幅が小さく済むこともあります。
家賃は2〜5割引きが一般的
賃貸の事故物件は、相場家賃の2〜5割引きで募集されることが多く、孤独死なら1〜2割、自殺なら3割前後、事件なら5割程度が目安です。敷金・礼金をなしにしたり、フリーレント(一定期間の家賃がかからない)を付けたりして募集するケースもあります。借りる側から見た家賃の考え方は事故物件の家賃のコラムで解説しています。
値下げ幅を左右する5つの条件
| 条件 | 値下げ幅が小さくなりやすい | 値下げ幅が大きくなりやすい |
|---|---|---|
| 立地 | 駅近・人気エリア・土地の需要が高い | 郊外・駅から遠い・人口が減っている地域 |
| 物件の種類 | 土地の価値が大きい一戸建て | 同じ建物内で比べられやすいマンションの一室 |
| 経過年数 | 事案から年数がたっている | 事案から間もない |
| 室内の状態 | 特殊清掃済みでにおいがない | においや汚れが残っている |
| 周知性 | 近所でもほとんど知られていない | 報道された・近所で広く知られている |
計算例:通常相場2,000万円の家の場合
計算例:事故がなければ2,000万円で売れる一戸建てで、特殊清掃を要した孤独死があった場合、1〜3割の値下げならおおよそ1,400万〜1,800万円が仲介での目安になります。同じ家で自殺があった場合(2〜4割)なら1,200万〜1,600万円程度です。あくまで目安の計算で、実際の価格は物件ごとの査定で決まります。
事故物件はなぜ安い?価格が下がる理由

買い手・借り手が限られるから
事故物件が安くなる最大の理由は、「気味が悪い」「縁起が悪い」と感じて検討から外す人が多いためです。これを不動産の世界では「心理的瑕疵」と呼びます。検討する人が減れば、価格を下げなければ売れません。
住宅ローンが通りにくい・再販売しにくい
金融機関によっては担保評価が下がり、買主の住宅ローン審査が厳しくなることがあります。また、購入した人も将来売るときに告知が必要になるため、資産価値の目減りを見越して安く買おうとします。ローンが使えないと、現金で買える人や不動産業者に買い手が限られ、そのぶん価格交渉が厳しくなります(買う側の事情は事故物件と住宅ローンで解説しています)。
清掃・リフォームの費用がかかる
特殊清掃が必要だった物件では、においの完全な除去や床・壁の張り替えなど、買主が追加で費用を負担するケースもあり、その分が価格から差し引かれます。
「事故物件だから安い」以外の理由が重なることも
事故物件の価格を下げている原因は、心理的瑕疵だけとは限りません。長く空き家だったことによる傷み、雨漏り、古い設備、家財が残っていることなども価格に影響します。孤独死があった家は、もともと築年数が古く、手入れが行き届いていないことも多いため、「事故の分」と「建物の状態の分」を分けて考えると、査定額の理由が理解しやすくなります。査定を受けたときは、どの要素でいくら下がっているのかを質問してみましょう。
価格の下がり方は「告知の必要性」とつながっている
告知が不要な自然死であれば、心理的瑕疵による値下げは基本的に起きません。反対に、告知が必要な事案では、買主がその事実を知ったうえで価格を判断します。どの事案が告知の対象になるかは売買の告知義務のコラムで整理しています。
事故物件はいつまで安い?時間の経過と価格

賃貸:3年程度で家賃が戻ることが多い
国土交通省のガイドラインでは、賃貸の告知はおおむね3年が目安とされています。そのため、事故から3年程度たつと告知が不要になり、家賃を相場に戻すオーナーが多いです。「告知期間中だけ安く住める」と考えて、あえて事故物件を探す方もいます。ただし事件性や周知性が高い事案は、3年を過ぎても告知が必要な場合があり、家賃がすぐに戻るとは限りません。
売買:期間の定めがなく、影響が長く残る
売買には告知期間の定めがないため、何年経っても事故物件として価格に影響します。ただし、時間の経過とともに心理的な抵抗は薄れ、10年・20年と経つと値下げ幅は小さくなる傾向です。建物を解体して更地にすると、心理的な影響がさらに小さくなることもあります。
更地にする前に知っておきたいこと
建物を解体しても、過去の事実が消えるわけではなく、買主の判断に影響すると考えられる場合は告知を検討します。また、解体には費用がかかるうえ、建物がなくなると固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の部分は課税標準が6分の1になる仕組み)が使えなくなり、翌年からの税金が上がることがあります。売れるまでに時間がかかると、その分の負担が増える点に注意が必要です。解体するかどうかの判断は事故物件の解体のコラムで解説しています。
待てば高く売れるとは限らない
「年数がたてば値下げ幅が小さくなるなら、しばらく待とう」と考える方もいます。ただし待っている間も、固定資産税・火災保険・管理の手間はかかり続け、空き家の建物は傷んでいきます。時間がたつことで心理面の値下げ幅が小さくなっても、建物の劣化で別の値下がりが起きることがあるため、今売った場合と数年後に売った場合を、維持費も含めて比べることが大切です。
事故物件を売るなら「仲介」と「買取」どちらが得?

仲介と買取の違い
| 仲介(一般の買主に売る) | 買取(業者が直接買う) | |
|---|---|---|
| 売却価格 | 相場の5〜9割程度(死因による) | 相場の4〜5割程度が目安 |
| 売れるまでの期間 | 数か月〜1年以上、売れないことも | 最短数日〜数週間 |
| 仲介手数料 | かかる(400万円超は売買価格の3%+6万円+税が上限) | 業者が直接の買主になるため、仲介は発生しない |
| 清掃・リフォーム | 売主が行うことが多い | そのままでOK |
| 契約不適合責任 | 売主が負うことが多い | 免責にできることが多い |
売却価格ではなく「手取り額」で比べる
仲介の方が売却価格は高くなりやすい一方、清掃・リフォーム費、仲介手数料、売れるまでの固定資産税や管理費がかかります。比べるときは、それらを差し引いた手取り額と、売れるまでの期間・確実さをあわせて見ることが大切です。「早く確実に手放したい」「近所に知られたくない」という方には買取が選ばれています。詳しくは事故物件の売却コラムをご覧ください。
計算例:手取り額で比べてみる
計算例:通常相場2,000万円の家で、特殊清掃を要した孤独死があった場合を考えます(数字はすべて仮のものです)。
| 項目 | 仲介で売る場合 | 買取の場合 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 1,600万円(2割減と仮定) | 900万円(相場の45%と仮定) |
| 清掃・リフォーム費 | −150万円(仮定) | かからない(現状のまま) |
| 仲介手数料(税別上限) | −54万円(1,600万円×3%+6万円) | 発生しない |
| 売れるまでの維持費 | −20万円(8か月と仮定) | ほぼなし |
| 手取りの目安 | 約1,376万円 | 約900万円 |
この計算例では、手取りでも仲介の方が多く残ります。一方で、仲介は売れるまでの期間が読めない、値下げを重ねるとこの差が小さくなる、売れ残る可能性があるといった不確かさがあります。価格を優先するなら仲介、早さ・手間の少なさ・近所に知られないことを優先するなら買取、と考えるとわかりやすいです。
どちらが向いているかの目安
- 仲介が向いている:人気エリアで買い手が見込める、時間に余裕がある、清掃や片付けを自分で手配できる
- 買取が向いている:早く現金にしたい、遠方で何度も現地に行けない、家財やにおいが残っている、近所に知られたくない、売った後の責任を負いたくない
- 迷っている:仲介の査定と買取の査定を両方とり、手取り額と期間を並べて比べる
相続した家の場合は、相続人どうしで「早く分けたい人」と「高く売りたい人」の意見が分かれることもあります。手取り額と期間の両方を数字で示すと、話し合いがまとまりやすくなります。仲介で売り出したものの事故物件が売れないときの対処法も、あわせて参考にしてください。
事故物件の価格を少しでも高くするポイント

1. 事故物件に強い業者に査定を依頼する
一般の不動産会社は事故物件の扱いに慣れておらず、極端に低い査定になったり、取り扱いを断られたりすることがあります。事故物件の買取・再生の実績がある業者なら、清掃やリフォーム後の再販価格を見込んだ査定ができます。
2. 先にリフォームしない
高く売ろうとしてリフォームしても、その費用分ほど価格が上がらないことがほとんどです。特殊清掃(汚染除去・消臭)は必要に応じて行い、内装リフォームは査定を受けてから判断しましょう。
3. 事実を正直に伝える
事故の内容を隠して売ると、後から損害賠償や契約解除を求められるリスクがあります(告知義務のコラム)。正確な情報を伝えた方が、結果的に適正な価格で、安心して売却できます。
4. 書類と情報をそろえておく
登記簿の内容、固定資産税の納税通知書、建築時期がわかる書類、特殊清掃の見積書や作業報告書などがそろっていると、業者は正確な査定がしやすくなります。清掃の内容がわかる資料は、においや汚れがどこまで処理されたかを示す材料になります。
5. 査定額だけでなく条件も比べる
査定額が高くても、契約後に「残置物の撤去費は売主負担」「引き渡し後の不具合は売主の責任」といった条件が付くと、手取りは減ります。残置物の扱い、契約不適合責任の有無、引き渡しまでの期間もあわせて比べましょう。査定の受け方は事故物件の査定のコラムでも解説しています。









