火災で人が亡くなった物件の売却は可能か

建物が焼けていても、土地を含めて売却の方法はあります。
建物が焼けていても、土地を含めて売却の方法はあります。

売却の方法は大きく3つ

火災のあった家の売り方は、建物の状態によって次の3つに分かれます。

売り方向いている状態ポイント
修繕して売る焼損が一部で、構造に大きな問題がない修繕費が売却額に見合うかを確認
解体して更地で売る焼損が大きく、住める状態に戻せない解体費がかかるが、買主は見つけやすくなる
そのまま買取に出す解体や修繕の手配がむずかしい費用を先に払わずに済むことが多いが、価格は低くなりやすい

2つの「瑕疵」を伝える必要がある

火災で人が亡くなった物件には、性質の違う2つの問題があります。ひとつは、人が亡くなったという心理的な問題(心理的瑕疵)。もうひとつは、建物が焼けたことによる物理的な問題(物理的瑕疵)です。解体して更地にしても、心理的な問題は残ります。瑕疵の種類は心理的瑕疵とはで詳しく解説しています。

まずは家族の気持ちを優先して

火災の直後は、警察や消防による調査、葬儀、親族への連絡などが続きます。売却を急ぐ必要はありませんが、建物が危険な状態なら、立ち入りを防ぐ囲いなどの安全対策だけは早めに検討してください。

土地としての価値は残る

建物が大きく焼けても、土地の価値がなくなるわけではありません。駅からの距離、道路との接し方、広さや形など、土地そのものの条件で価格が決まる部分は大きく残ります。ただし、建物を建て直せない「再建築不可」の土地や、隣家と壁を共有する長屋などは、解体や建て替えに制約があるため、売り方を慎重に考える必要があります。

告知はどう考える?ガイドラインのルール

火災による死亡は、告知の対象になる事案です。
火災による死亡は、告知の対象になる事案です。

火災による死亡は告知が必要

国土交通省のガイドラインでは、告知が原則不要とされるのは老衰・病気などの自然死と、日常生活の中での不慮の死です。火災による死亡はこれにあたらず、買主・借主に告げる必要があります。賃貸では発生からおおむね3年が目安ですが、売買には期間の目安が示されていません。

報道や周知性が高い場合

火災は消防車が出動し、報道されることもあるため、近所の多くの人が知っていることがあります。ガイドラインでは、事件性・周知性・社会的影響が大きい事案は、期間にかかわらず告知が必要な場合があるとされています。建物を解体して年数がたっても、知っている事実は告げると考えておきましょう。

告知書には何を書くか

  • 火災の発生時期と、焼損した範囲
  • 亡くなった方がいること(亡くなった方のお名前や詳しい状況まで書く必要はありません)
  • 修繕や解体をした場合は、その内容と時期
  • 火災の原因がわかっていれば、その概要(消防の調査結果など)

告知の基本は事故物件の告知義務は何年で消える?で整理しています。

賃貸住宅で火災が起きた場合

賃貸住宅で入居者が火災で亡くなった場合、次の入居者には告知が必要です。賃貸の告知はおおむね3年が目安ですが、報道された事案などはそれより長く配慮が必要なことがあります。大家さんの立場での損害の考え方は事故物件の損害賠償の考え方も参考にしてください。

告知の内容に迷ったときは、事実を簡潔に、わかる範囲で書くのが基本です。推測や噂は書かず、消防や警察から聞いた事実と、自分が行った修繕・解体の内容に絞ると、買主にも伝わりやすくなります。

売る前に確認すること:保険・罹災証明・調査

保険の請求と書類の取得は、売却より先に進めます。
保険の請求と書類の取得は、売却より先に進めます。

火災保険・家財保険の請求

建物に火災保険がかかっていれば、焼損した部分の補償を受けられる場合があります。契約によっては、焼け残った物の片付け費用や、臨時の出費をまかなう費用保険金がつくこともあります。家財保険に入っていれば、家財の損害も対象になることがあります。どこまで補償されるかは契約内容で違うため、保険証券を探し、保険会社や代理店にすぐ連絡してください。保険会社の確認前に解体や片付けをすると、損害の確認がむずかしくなることがあるため、順番に注意が必要です。

罹災証明書を取得する

火災の罹災証明書は、消防署が発行するのが一般的です。保険の請求や、税金・公的支援の手続きで求められることがあります。申請の方法は、管轄の消防署に確認してください。

名義と相続の確認

亡くなった方が家の名義人だった場合、売るには相続の手続きが必要です。相続登記は2024年4月から義務になり、取得を知った日から3年以内に申請する必要があります。名義人が亡くなった方以外でも、共有者がいれば全員の同意がいります。相続人が複数いる場合の進め方は事故物件を相続してしまったら?を参考にしてください。

警察・消防の調査中は立ち入れないことがある

火災で人が亡くなった場合、警察と消防が出火原因や死因を調べます。調査が終わるまでは、家族でも建物に入れないことがあります。貴重品や重要書類を取り出したい場合は、担当の警察署や消防署に相談してください。調査の結果は、保険の請求や告知の内容を考えるときにも役立ちます。

保険の請求には期限があり、保険法では保険金を請求する権利は一定期間で時効により消えるとされています。期間は契約の約款にも書かれているため、気持ちが落ち着かない時期でも、保険会社への最初の連絡だけは早めにしておきましょう。保険証券が見つからない場合は、通帳の引き落とし記録や郵便物から保険会社を探す方法があります。

解体するか、そのまま売るか

焼けた建物の解体には、ふつうの解体とは違う注意点があります。
焼けた建物の解体には、ふつうの解体とは違う注意点があります。

焼損した建物の解体費は高くなりやすい

火災のあった建物は、焼け焦げた木材や溶けた設備などが混ざり、分別に手間がかかるため、ふつうの解体より費用が高くなりやすい傾向があります。費用は建物の構造・広さ・前面道路の幅・焼損の程度で大きく変わるため、必ず複数の見積もりを取ってください。

解体の前に必要な手続き

  • 床面積80㎡以上の建物の解体は、建設リサイクル法にもとづく届出が必要
  • アスベスト(石綿)の事前調査を行い、一定規模以上は結果の報告が必要(2022年4月から)
  • 2023年10月からは、有資格者による事前調査が必要
  • 解体後は、建物がなくなったことを登記する「建物滅失登記」を行う

解体の流れや費用の考え方は事故物件は解体して更地にすべき?で詳しく解説しています。

固定資産税への影響

住宅が建っている土地は、固定資産税の住宅用地特例で税額が軽くなっています(200㎡以下の部分は課税標準が6分の1)。解体して更地にすると、この特例が外れて税額が上がることがあります。災害で住宅を失った場合の取り扱いもあるため、解体の前に市区町村の資産税の窓口に確認してください。

修繕して売る場合の注意

焼損が一部にとどまる場合は、修繕して売る方法もあります。ただし、火や煙、消火の水は、見えない柱や梁、床下、電気配線にも影響していることがあります。修繕の前に建物の状態を専門家に見てもらい、構造の安全性と、においやすすがどこまで残っているかを確認しましょう。修繕費が売却額の上がり幅を超えるなら、無理に直さず、解体やそのままの売却を選んだほうが手元に残る金額は多くなります。

解体するかどうかを決める前に、買主となる人がその土地に何を建てられるかも確認しておきましょう。建築基準法では、原則として幅4m以上の道路に2m以上接していないと建物を建てられません。古い住宅地ではこの条件を満たさない土地もあり、その場合は解体すると新しい建物を建てられなくなります。建物を残すか、どう売るかで価格が大きく変わるため、解体の前に不動産会社に相談してください。

近隣への配慮と、よくある注意点

火災は近隣にも影響が及びやすい事案です。
火災は近隣にも影響が及びやすい事案です。

隣家に燃え移った場合

日本では「失火責任法」により、火元の人に重大な過失がなければ、燃え移った隣家への損害賠償責任は負わないとされています。そのため、隣家の損害は隣家自身の火災保険で補償するのが基本です。ただし、重大な過失があった場合や、賃貸住宅で借主が大家に対して負う責任は別の考え方になります。具体的な責任の有無は、弁護士に確認してください。

焼けた建物の放置は危険

焼損した建物は、壁や屋根が崩れたり、部材が飛んだりする危険があります。所有者は、建物の欠陥で他人に損害を与えた場合、民法717条により過失がなくても責任を負うことがあります。解体までに時間がかかる場合は、囲いや養生などの安全対策を検討してください。

近所へのお詫びは短く

消火活動や煙で近所に迷惑をかけた場合は、落ち着いたころに短くお詫びを伝えます。亡くなった方の詳しい状況や、売却の予定まで話す必要はありません。近隣への説明の仕方は事故物件の近隣からの苦情への対応も参考にしてください。

火災の原因が電気製品だった場合

火災の原因が電気製品やガス機器の不具合と考えられる場合は、メーカーや販売店、消費生活センターに相談できることがあります。原因の調査結果は消防署に確認してください。売却とは別の話ですが、損害の補償に関わることがあるため、記録を残しておきましょう。

また、解体工事の際は、騒音やほこりで近隣に負担がかかります。工事の前に、解体業者と一緒に近隣へあいさつをしておくと、工事中の苦情を減らせます。あいさつでは工事の期間と作業時間を伝えれば十分です。

次に何をすればいいか

保険、名義、建物の安全の順に確認していきましょう。
保険、名義、建物の安全の順に確認していきましょう。

1. 保険会社に連絡し、罹災証明書を取る

建物・家財の保険があるかを確認し、保険会社の調査が終わるまでは大きな片付けや解体を控えます。

2. 相続人と名義を確認する

家の名義人と相続人を確認し、相続登記の準備を進めます。相続放棄を考えている場合は、家財や建物に手をつける前に弁護士・司法書士に相談してください。

3. 修繕・解体・買取の見積もりを比べる

修繕して売る、解体して売る、そのまま売る、の3つで手元に残る金額を比べます。株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・相続物件を当社が直接買い取る不動産会社です。焼損した建物が残ったまま、家財が残ったままでもご相談いただけ、契約不適合責任は免責でお買い取りします。チラシやポータル掲載をしないため、近所に知られずに進められます。査定・相談は無料です。無料査定・相談フォームからご相談ください。

火災のあと、どこから手をつけてよいかわからないというご相談も少なくありません。保険や相続の手続きは専門家と進めていただきながら、建物と土地の売却については当社がご一緒に整理します。現地の確認は、ご家族の立ち会いがむずかしい場合も相談できます。