家族が自殺した家は売却できる?まず知っておきたいこと

売る・住み続ける・貸す、どれを選んでもかまいません。
売る・住み続ける・貸す、どれを選んでもかまいません。

売却はできる。ただし告知が前提

家族が自殺した家でも、法律上、売ることに制限はありません。ただし、買主が購入するかどうかを判断するうえで重要な事実のため、告知したうえで売るのが前提です。告知をすれば買主は限られますが、価格や売り方を工夫すれば、買い手は見つかります。

「すぐに決めなくていいこと」と「早めに確認したいこと」

家を手放すかどうかは、ご家族の気持ちが少し落ち着いてから決めてかまいません。一方で、次のことは早めに確認しておくと、後で困りません。

  • 室内の清掃が必要かどうか(季節や発見までの期間によっては、早めの対応が必要)
  • 家の名義は誰か。亡くなった方が名義人なら、相続人は誰か
  • 住宅ローンが残っていないか。団体信用生命保険の扱いはどうなるか
  • 亡くなった方に借金がないか(相続放棄を考える場合は3か月の期限がある)

選択肢は売却だけではない

そのまま家族が住み続ける、しばらく空き家として残す、賃貸に出す、という選択肢もあります。ただ、事情を知る家に住み続けることが心の負担になる方も多くいます。空き家として残す場合は、管理の手間や固定資産税がかかり続けるため、事故物件の空き家を放置するリスクも知っておいてください。どれが正しいということはなく、ご家族にとって無理のない方法を選ぶことがいちばん大切です。

告知のルール:自殺は「期間の目安なし」

売買では、何年たっても告知が必要と考えておきます。
売買では、何年たっても告知が必要と考えておきます。

国のガイドラインでの扱い

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、告知が原則不要とされるのは、老衰や病気による自然死と、日常生活の中での不慮の死です。自殺はこれにあたらないため、買主・借主に告げる必要があります。

賃貸は約3年、売買は目安なし

取引告知の期間の考え方
賃貸発生(特殊清掃等が行われた場合は発覚)からおおむね3年が経過すれば、原則として告知不要
売買期間の目安は示されていない。年数がたっても告知が必要と考えるのが安全
共通事件性・周知性・社会的影響が大きい事案や、買主・借主から問われた場合は告げる

売買で期間の目安がないのは、買主にとって住まいの購入は大きな決断であり、長く住み続けることが前提だからです。期間の考え方は事故物件の告知義務は何年で消える?で詳しく解説しています。

告知する場所の範囲

告知の対象は、原則として売る物件の室内や、日常生活で使う専用部分(ベランダなど)での出来事です。マンションの隣の部屋や、日常生活でふだん使わない共用部分での出来事は、原則として対象外とされています。敷地内の物置や庭など、判断に迷う場所の場合は、不動産会社と相談して告知の範囲を決めてください。

なお、告知は売主を責めるためのものではなく、買主が納得して購入を決められるようにするための仕組みです。事実を伝えたうえで成立した売買は、後で争いになりにくく、結果としてご家族を守ることにつながります。伝え方に迷うときは、不動産会社に文面を一緒に考えてもらいましょう。

価格はどう決まる?下がり方の考え方

価格は、事案の内容と物件の条件の両方で決まります。
価格は、事案の内容と物件の条件の両方で決まります。

下がり方に決まった割合はない

自殺のあった家は、相場より価格が下がるのが一般的です。ただし、何割下がると決まっているわけではありません。次のような事情によって、下がり方は大きく変わります。

  • 亡くなった場所(室内か、敷地の一部か)
  • 発見までの期間と、特殊清掃・リフォームの規模
  • 報道されたかどうか、近所でどの程度知られているか
  • 立地や広さなど、もともとの物件の人気
  • 事案からの経過年数

下がり方の考え方は事故物件はどれくらい安くなる?で整理しています。

立地のよい物件は影響が小さくなりやすい

駅に近い、生活に便利、土地の形がよいなど、もともと人気のある物件は、事故の影響があっても買い手が見つかりやすい傾向があります。反対に、もともと需要が少ない地域では、影響が大きく出ることがあります。

仲介と買取で価格の出方が違う

仲介は一般の買主を探すため、相場に近い価格を目指せますが、売れるまでに時間がかかることがあります。買取は不動産会社が直接買主になるため、価格は仲介より低くなりやすい一方、短い期間で、近所に知られずに売りやすい方法です。どちらが合うかは、ご家族が何を優先したいかで決まります。

査定のときに伝えること

正確な査定を受けるには、事案の時期・場所・清掃の状況を、わかる範囲で伝えることが大切です。伝えにくいことは、最初の電話やフォームでは「告知事項がある」とだけ伝え、詳しい内容は面談のときに話す形でもかまいません。事実を正しく伝えたうえで出された査定額のほうが、契約の直前に下がるといったことが起きにくくなります。

遺族の負担を減らす進め方

現場に入るのがつらいときは、人に任せてかまいません。
現場に入るのがつらいときは、人に任せてかまいません。

清掃は専門の業者に任せる

亡くなった場所の清掃を、ご家族だけで行う必要はありません。特殊清掃の業者に依頼すれば、清掃・消臭・必要な撤去までを任せられます。立ち会いがつらい場合は、鍵を預けて作業してもらうこともできます。作業内容は自殺・事件現場の特殊清掃で詳しく紹介しています。

形見は「探してほしい物」を伝えて取り出してもらう

通帳・印鑑・写真・手紙など、残したい物があれば、作業する業者にリストを渡して取り出してもらう方法があります。遺書やメモが見つかった場合は、ご家族に渡してもらうよう、事前に頼んでおきましょう。

売却も、現地に行く回数を減らせる

家財が残ったまま買い取ってもらう方法を選べば、片付けのために何度も現地に通う必要がなくなります。契約や書類のやりとりは、事務所での面談や郵送で進められることが多く、ご家族の負担を小さくできます。家財の扱いは遺品が残ったまま売却できるかで解説しています。

ご自身の心のケアも大切に家族を自死で亡くした方は、深い悲しみや自分を責める気持ちを抱えることが少なくありません。都道府県や政令市の精神保健福祉センターなどでは、こころの相談を受け付けています。厚生労働省の「まもろうよ こころ」では、電話やSNSの相談窓口が紹介されています。ひとりで抱え込まないでください。

ほかの家族や親族への伝え方

家を手放すことを親族に伝えるとき、亡くなった経緯をどこまで話すかは、ご家族で決めてかまいません。売却の手続きに必要なのは、相続人全員の同意と書類です。相続人の間で話がまとまらないときは、兄弟で相続して意見が合わないときも参考にしてください。

告知書の書き方と、よくある誤解

告知は、事実を簡潔に伝えることが基本です。
告知は、事実を簡潔に伝えることが基本です。

告知書に書く内容

売主は、告知書(物件状況等報告書)に、知っている事実を書きます。書く内容は、おおむね次のとおりです。

  • いつ(年月)
  • どこで(室内のどの場所か)
  • 何があったか(自死があったこと)
  • 清掃やリフォームを行った場合は、その内容

亡くなった方のお名前や、詳しい経緯、家族の事情まで書く必要はありません。書き方に迷う場合は、不動産会社と相談しながら作成してください。記載の考え方は重要事項説明書・告知書の記載例で紹介しています。

「解体すれば告知はいらない」は誤解

建物を解体して更地にしても、その土地で起きた事実がなくなるわけではありません。売買では告知期間の目安もないため、解体後も告知が必要になる場合があると考えておきましょう。土地と告知の関係は事故物件の土地はいつまで告知が必要?で解説しています。

告知しないと、後で大きな負担になる

告知せずに売ると、買主が後から事実を知ったときに、契約の解除や損害賠償を求められるおそれがあります。個人の売主は契約不適合責任を特約で免責にできますが、知りながら告げなかった事実は免責されません。後で争いになれば、ご家族がふたたびつらい思いをすることになります。

相続・ローン・賃貸の場合の注意点

名義や契約の状況によって、確認することが変わります。
名義や契約の状況によって、確認することが変わります。

亡くなった方が名義人の場合

家を売るには、まず相続人が誰かを確定し、相続登記をする必要があります。相続登記は2024年4月から義務になり、取得を知った日から3年以内に申請しなければなりません。相続放棄を考えている場合は、相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します。家財を処分すると放棄できなくなることがあるため、判断は弁護士・司法書士に確認してください。

住宅ローンが残っている場合

亡くなった方が住宅ローンを返していた場合は、団体信用生命保険でローンが完済されることがあります。ただし、契約によっては加入から一定期間内の自殺を免責とする定めがあり、保険金が支払われないことがあります。まずは金融機関に連絡し、契約内容を確認してください。

賃貸に出していた家や、賃貸住宅で起きた場合

所有する家を人に貸していて、入居者が亡くなった場合は、大家さんとしての対応になります。家族が借りていた賃貸住宅で起きた場合は、大家さんから原状回復や家賃の補償を求められることがあります。その範囲の考え方は事故物件の損害賠償の考え方で解説しています。

いずれの場合も、亡くなった方の契約や借金の状況は、郵便物や通帳の記録から少しずつ確認できます。すべてを一度に調べる必要はありません。

次に何をすればいいか

ご家族のペースで、できることから進めましょう。
ご家族のペースで、できることから進めましょう。

1. 急ぐことだけを先に済ませる

室内の清掃、ローンや保険の確認、相続放棄の期限の確認など、時間の制約があることだけを先に進めます。売るかどうかの決断は、その後でかまいません。

2. 家族で方針を話し合う

売る、残す、貸す、のどれを選ぶかは、相続人全員で話し合って決めます。意見が分かれるときは、査定額などの数字を見ながら話すと、整理しやすくなります。

3. 売却を考えたら、事情を話せる相談先を

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・相続物件を当社が直接買い取る不動産会社です。特殊清掃前や家財が残ったままでもご相談いただけ、古物商許可にもとづいて家財の回収も行えます。チラシやポータルサイトへの掲載をしないため、近所に知られずに進められます。契約不適合責任は免責でお買い取りします。査定・相談は無料で、秘密は守ります。お話しできる範囲でかまいませんので、無料査定・相談フォームまたはお電話(06-7777-4333)でご相談ください。

お祓いや供養をしてから売りたいというご希望があれば、その時期に合わせて手続きを進めることもできます。供養の考え方は事故物件のお祓い費用の相場で紹介しています。