事故物件の告知義務違反とは?まず押さえる結論

告知義務違反は「伝えるべき事実を伝えなかったこと」です。
告知義務違反は「伝えるべき事実を伝えなかったこと」です。

告知義務違反の意味

告知義務違反とは、買主や借主の判断に大きく影響する事実を知っていながら、契約前に伝えなかったことをいいます。事故物件では、自殺・他殺・火災による死亡、発見が遅れて特殊清掃をした孤独死などが典型です。どんな場合に告知が必要かは事故物件の告知義務は何年で消える?で詳しく解説しています。

生じうる3つの責任

責任の種類内容
契約の解除契約をなかったことにし、代金や家賃の返還を求められる
損害賠償引っ越し費用、登記などの諸費用、精神的苦痛への慰謝料などを請求される
代金・家賃の減額事故物件だと知っていれば払わなかった分の差額を請求される

どの責任がどこまで認められるかは、事案の内容、経過した年数、契約書の特約、売主がどこまで知っていたかによって変わります。

「知らなかった」場合はどうなる?

売主・貸主が本当に事案を知らなかった場合と、知っていて黙っていた場合では、扱いが大きく異なります。知らなかった場合でも契約不適合責任を問われる可能性はありますが、個人の売主なら特約で免責にできます。一方、知っていて告げなかった場合は免責特約が効かず、責任は重くなります。

告知が不要な事案なら違反にはならない

早く見つかった病死や老衰、浴室での溺死など日常生活の中での不慮の死は、国交省ガイドラインで原則告知不要とされています。こうした事案を告げなかったことだけで、ただちに告知義務違反になるわけではありません。ただし、買主・借主から質問されたのに事実と違う答えをした場合は別です。聞かれたときは、把握している事実を伝えるのが原則です。

告知義務違反で責任を問われる法的な仕組み

主に「契約不適合責任」と「説明義務違反」の2つの考え方があります。
主に「契約不適合責任」と「説明義務違反」の2つの考え方があります。

契約不適合責任(売買)

2020年4月1日施行の改正民法で、売主の責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わりました。引き渡した家が契約の内容に合っていない場合、買主は代金の減額、損害賠償、契約の解除などを求められます。過去に自殺があったなどの心理的な事情も、契約の内容に合わない「不適合」に当たると考えられています。仕組みの詳細は事故物件の契約不適合責任で解説しています。

説明義務違反・不法行為

契約不適合責任とは別に、契約前に伝えるべきことを伝えなかったとして、説明義務違反や不法行為を理由に損害賠償を求められることもあります。賃貸借でも、貸主が告知すべき事案を伝えなかった場合は、借主から契約の解除や損害賠償を求められることがあります。

宅建業者(不動産会社)の責任

宅地建物取引業法では、宅建業者が重要な事実を故意に告げないことを禁止しています。不動産会社が事案を知りながら説明しなかった場合、民事上の賠償責任に加え、行政処分の対象になることもあります。国交省のガイドラインでは、宅建業者は売主・貸主に告知書への記載を求めれば通常の調査を果たしたとされ、売主・貸主が事実を隠した場合、責任は売主・貸主に向かいやすくなります。

なお、宅建業者が自ら売主になる場合は、宅地建物取引業法により、契約不適合責任の期間を引き渡しから2年以上とする特約を除いて、買主に不利な特約は無効とされています。個人の売主とは扱いが違う点を覚えておきましょう。

責任追及はどう進む?告知義務違反が発覚してからの流れ

多くは話し合いから始まり、まとまらなければ調停や裁判に進みます。
多くは話し合いから始まり、まとまらなければ調停や裁判に進みます。

一般的な流れ

  1. 発覚:近所の方の話、事故物件情報サイト、管理会社の一言などで買主・借主が知る
  2. 通知:買主・借主から、売主・貸主や仲介会社へ連絡。書面(内容証明郵便など)で届くこともある
  3. 話し合い:事実関係の確認、解除・減額・賠償の金額について交渉
  4. 調停・訴訟:話し合いがまとまらない場合、裁判所の調停や訴訟に進む

責任追及には期限がある

契約不適合責任では、買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があります(売主が知っていた、または重大な過失で知らなかった場合を除く)。さらに、権利の消滅時効もあります。期限の考え方は告知義務違反の時効で整理しています。期限を理由に責任を逃れようとするのではなく、正しく告知することが一番の対策です。

連絡が来たときにやってはいけないこと

  • 感情的に反論する、連絡を無視する
  • その場で金額を約束する
  • 記録を残さずに口頭だけでやりとりする

連絡が来たら、契約書・告知書・重要事項説明書を手元にそろえ、早めに弁護士へ相談してください。仲介会社を通して売った場合は、仲介会社にも連絡し、契約当時のやりとりの記録を確認してもらいましょう。誰が、いつ、何を伝えたかが争点になることが多いため、当時のメールやメモも大切な資料になります。

裁判例の一般的な傾向:どんなときに責任が認められやすい?

裁判所は年数だけでなく、事案の内容や周辺の認識を総合して判断します。
裁判所は年数だけでなく、事案の内容や周辺の認識を総合して判断します。

責任が認められやすい傾向

個別の判断は事案ごとに異なりますが、公表されている裁判例を見ると、一般的に次のような事情があると責任が認められやすい傾向があります。

  • 自殺や他殺など、買主・借主が強く嫌悪感を抱く内容である
  • 事案から年数があまり経っていない
  • 近所の多くの人が知っており、今も話題になる
  • 売主・貸主が事案を知りながら、質問されても否定した
  • 買主が住むために購入した住宅である

責任が否定・限定されやすい傾向

反対に、事案から長い年数が経っている、建物がすでに取り壊されている、近所でもほとんど知られていない、といった事情がある場合は、告知義務自体が否定されたり、認められる金額が小さくなったりする傾向があります。解除までは認めず、代金の一部減額や慰謝料にとどめた例もあります。

裁判例は「目安」にとどめる

裁判例は、それぞれの事案の事情を前提にした判断です。「〇年経てば大丈夫」「建物を壊せば大丈夫」と一般化することはできません。自分のケースがどうなるかは、具体的な事情をもとに弁護士へ確認してください。

また、2021年に国交省のガイドラインが公表されてからは、告知が必要な範囲や賃貸の期間の目安が以前より明確になりました。ガイドライン以前の裁判例は、当時の考え方にもとづく判断である点にも注意が必要です。ガイドラインの内容は国交省ガイドラインのやさしい解説で確認できます。

告知義務違反の損害はどれくらい?金額の考え方

損害額は「事故物件でなければいくらだったか」との差が基本になります。
損害額は「事故物件でなければいくらだったか」との差が基本になります。

売買の場合

売買では、事故物件でなかった場合の価格と、事故物件としての価格の差が損害の基本になります。そのほか、契約を解除する場合は登記費用や仲介手数料、引っ越し費用、場合によっては慰謝料が問題になります。事故物件の価格の下がり方は事案の内容や立地で大きく異なり、目安は事故物件はどれくらい安くなる?にまとめています。

賃貸の場合

賃貸では、引っ越し費用や新しい部屋の初期費用、支払った家賃のうち相場との差額などが問題になります。入居から短期間で発覚した場合ほど、借主の負担が大きくなりやすい点に注意が必要です。

計算の例

計算例:考え方のイメージ通常なら2,000万円で売れる家を、告知せずに2,000万円で売ったとします。仮に事故物件としての価格が1,600万円だとすると、差額の400万円が減額や賠償の議論の出発点になります。実際の金額は事案ごとに大きく異なります。

先に告知していれば価格が下がっていた分を、後から返すことになるうえ、話し合いや裁判の時間・費用、精神的な負担も加わります。告知しないことで得をすることは、ほとんどないと考えてください。

弁護士費用や時間の負担も

交渉や裁判になると、弁護士費用がかかるうえ、解決まで数か月から年単位の時間がかかることもあります。売ったお金をすでに別のことに使っていると、返還や賠償の資金を用意するのも大変です。金額だけでなく、こうした負担も含めて考えると、最初に告知しておくことの大切さがわかります。

売主・大家ができる告知義務違反の予防策

予防の基本は「事実の記録」と「書面での告知」です。
予防の基本は「事実の記録」と「書面での告知」です。

事実を記録し、書面で伝える

  • 時期・場所・死因・清掃や工事の内容をメモに残す
  • 警察、管理会社、清掃業者とのやりとりの書類を保管する
  • 告知書(物件状況等報告書)に正確に書く
  • 重要事項説明書や契約書の特記事項にも記載してもらう

書き方は重要事項説明書・告知書の記載例、売主向けのポイントは事故物件の売却と告知義務で解説しています。

家族や親族にも確認する

相続した家では、売主本人が知らない事案があることもあります。亡くなった親の兄弟や、近くに住んでいた親族に確認しておくと安心です。わからない部分は「不明」と正直に書きましょう。

質問されたら正直に答える

買主・借主から質問されたときに事実と違うことを答えると、責任がもっとも重くなりやすいパターンです。答えにくい場合は、仲介会社や管理会社を通して書面で回答するとよいでしょう。「黙っていればわからない」と考えて事実を隠すことや、間に人を住まわせて履歴を消そうとすることは避けてください。その問題点は事故物件ロンダリングとはで解説しています。

告知義務が不安なときに次にすべきこと

不安な点は契約前に解消しておくのが一番の予防です。
不安な点は契約前に解消しておくのが一番の予防です。

すでにトラブルになっている場合

買主・借主から連絡が来ている場合は、まず弁護士に相談してください。自治体や弁護士会の法律相談、法テラスなども利用できます。相談の際は、契約書、重要事項説明書、告知書、相手からの書面、当時のやりとりの記録を持参すると話がスムーズです。自分だけで相手と交渉を進めるのは避けましょう。

これから売る・貸す場合

まだ契約前なら、告知の範囲を決め、書面に残すことでトラブルの多くは防げます。告知事項があっても、それを前提に買う買主を選べば、後から責任を問われる心配は小さくなります。告知の範囲で迷う事案があるときは、契約前の段階で弁護士に意見を聞いておくと安心です。仲介会社に任せきりにせず、告知書の内容は売主自身が最終確認してください。

買取なら告知事項を前提に、契約不適合責任は免責

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を買い取っています。当社が直接買主になり、告知事項を把握したうえで価格を決め、契約不適合責任は免責で買い取ります。売却後に「聞いていなかった」と責任を問われる不安を減らせます。特殊清掃前や家財が残ったままでも相談でき、チラシやポータルサイトに掲載しないため近所に知られずに進められます。査定・相談は無料、秘密は厳守します。無料相談フォームまたはお電話(06-7777-4333、10:00〜19:00、水・日定休)でご相談ください。