事故物件と知らされなかったら解約できる?結論と全体像

賃貸か売買か、告知が必要な事実だったかで、とれる対応が変わります。
賃貸か売買か、告知が必要な事実だったかで、とれる対応が変わります。

判断の分かれ目は3つ

  1. 告知が必要な出来事だったか:自殺・他殺・火災による死亡、発見が遅れ特殊清掃をした死亡などか
  2. 貸主・売主・不動産会社が知っていたか:知りながら伝えなかったのか、知らなかったのか
  3. 契約の種類と内容:賃貸か売買か、免責などの特約があるか

この3点によって、解約・返金・損害賠償を求められるかどうかが変わります。

賃貸と売買でとれる対応の違い

項目賃貸売買
契約をやめる通常の解約は可能。事情によっては契約の解除・取消しを主張できる場合も契約不適合責任による解除を求められる場合がある
お金の請求引っ越し費用・初期費用などの損害賠償を求められる場合がある代金の減額、損害賠償を求められる場合がある
期限の注意早めに記録を残し、相談する不適合を知ってから1年以内に売主へ通知が必要な場合がある

まずは落ち着いて記録を残す

ショックを受けると、すぐに引っ越したり、強い口調で相手に連絡したりしたくなります。しかし、あとで話し合いや請求をするときには、いつ、どうやって知ったか、契約時にどんな説明を受けたかの記録が大切になります。行動する前に、次の見出しで紹介する確認と記録を進めましょう。

最初に確認すること:その出来事は告知が必要だったか

国交省ガイドラインの考え方に照らして、告知の対象だったかを確かめます。
国交省ガイドラインの考え方に照らして、告知の対象だったかを確かめます。

告知の対象になる出来事・ならない出来事

2021年10月に国土交通省が公表したガイドラインでは、次のように整理されています。

出来事告知の扱い(原則)
老衰・病死などの自然死告知不要
階段からの転落、入浴中の溺死、誤嚥など日常生活の中での事故告知不要
自然死でも発見が遅れ、特殊清掃や大規模リフォームが行われた告知が必要
自殺・他殺・火災による死亡など告知が必要
隣の住戸、日常生活でふつう使わない共用部分での出来事原則として対象外

賃貸は「おおむね3年」が目安

賃貸では、告知が必要な出来事でも、事案の発生(特殊清掃等の場合は発覚)からおおむね3年が過ぎていれば、原則として告知不要とされています。ただし、事件性や社会的な影響が大きい事案は、期間に関係なく告知が必要な場合があります。また、借主から問われた場合は、把握している事実を伝えることとされています。売買には期間の目安がありません。くわしくは事故物件の告知義務は何年で消える?をご覧ください。

「契約前に質問したか」も大切

ガイドラインでは、借主・買主から問われた場合には、不動産会社は把握している事実を告げることとされています。契約前に「この部屋で人が亡くなったことはありますか」と質問し、「ない」と答えられていた場合は、その経緯を記録しておきましょう。

賃貸で事故物件と知らされなかった場合の対応

解約するかどうかと、費用を請求するかどうかは分けて考えます。
解約するかどうかと、費用を請求するかどうかは分けて考えます。

解約して引っ越すことはできる

賃貸の借主は、契約で決められた予告期間(1か月前など)を守れば、いつでも解約できるのが一般的です。まず「住み続けるか、引っ越すか」を決め、そのうえで費用の請求を考えるという順番にすると、整理しやすくなります。なお、短期解約の違約金がある契約でも、告知されるべき事実が伝えられていなかった事情があれば、話し合いで免除を求める余地があります。

請求を考えられる費用

貸主や不動産会社が、告知が必要な事実を知りながら伝えなかった場合、借主は次のような費用の支払いを求められる可能性があります。

  • 引っ越し費用
  • 契約時に支払った礼金・仲介手数料などの初期費用
  • 新しい住まいを借りるための費用
  • 相場より高い家賃を払っていた場合の差額
  • 精神的な苦痛に対する慰謝料

どこまで認められるかは、事案の内容や契約の経緯によって大きく違います。具体的な金額の見込みは、弁護士に確認してください。

契約の取消しを主張できる場合も

事業者である貸主や不動産会社が、重要な事実について事実と違うことを告げたり、借主に不利な事実をわざと告げなかったりした場合には、消費者契約法などにもとづいて契約の取消しを主張できる場合があります。使える制度は状況によって違うため、消費生活センターや弁護士に相談しましょう。

購入した家が事故物件だった場合の対応(契約不適合責任)

売買では、契約不適合責任の考え方と、通知の期限に注意が必要です。
売買では、契約不適合責任の考え方と、通知の期限に注意が必要です。

契約不適合責任とは

2020年4月1日に施行された改正民法で、売主の責任は「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に変わりました。引き渡された物件が、種類・品質などの点で契約の内容に合っていない場合、買主は売主に対して、修補などの追完、代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められる場合があります。告知されるべき人の死があったことが、この「契約の内容に合っていない」にあたるかどうかは、事案ごとに判断されます。

知ってから1年以内の通知に注意

民法では、種類や品質に関する不適合について、買主が不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、原則として責任を追及できなくなるとされています(売主が知っていた場合などの例外あり)。まずは書面で売主に通知しておくことが大切です。期間の考え方は事故物件の告知義務違反の時効でも解説しています。

免責特約があっても、知りながら告げなければ免責されない

個人の売主は、特約で契約不適合責任を免責にすることができます。ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません。また、宅建業者が売主の場合は、宅地建物取引業法で買主に不利な特約が制限されています。くわしくは事故物件と契約不適合責任、事故物件の告知義務違反をご覧ください。

仲介した不動産会社の責任

宅地建物取引業法では、宅建業者が重要な事項をわざと告げないことや、事実と違うことを告げることが禁止されています。仲介した不動産会社が事実を知りながら説明しなかった場合は、その会社に対して損害賠償を求められる場合があります。

事故物件と分かった後の進め方:証拠集めから話し合いまで

記録と書面を中心に、順を追って進めると話し合いがまとまりやすくなります。
記録と書面を中心に、順を追って進めると話し合いがまとまりやすくなります。

手順1:証拠と記録を集める

  • 契約書・重要事項説明書・告知書(物件状況等報告書)
  • 物件の広告や募集図面(備考欄の記載)
  • 契約前のやりとりのメール・メッセージ
  • 事故の事実を知ったきっかけと日付のメモ
  • 近所の人やサイトの情報は、内容と日付を記録

事故物件公示サイトや噂だけでは、事実と違うこともあります。何が事実なのかを確認することが出発点です。

相手とのやりとりで気をつけること

不動産会社や貸主・売主と話すときは、感情的にならず、事実と求めることを分けて伝えると話が進みやすくなります。電話で話した場合は、日時・相手の名前・話した内容をメモに残し、大事な内容はあとでメールなどで確認しておきましょう。また、亡くなった方やご遺族のプライバシーに関わる話になるため、近所やSNSで話を広げるのは避けたほうが安全です。

手順2:相手に事実関係を確認し、書面で伝える

仲介した不動産会社や管理会社に、事実関係を確認します。告知が必要な事実が伝えられていなかったと分かったら、こちらの求めること(解約・費用の負担・代金の減額など)を書面で伝えます。売買では1年以内の通知が問題になることがあるため、内容証明郵便など記録の残る方法を使うと安心です。

手順3:話し合いでまとまらなければ第三者の手続きへ

当事者同士の話し合いでまとまらない場合は、弁護士に依頼して交渉する、裁判所の調停を利用する、訴訟を起こす、といった方法があります。どの方法がよいかは、請求する金額や証拠の状況によって違います。時間や費用もかかるため、早めに専門家に相談して見通しを立てることが大切です。

相談先と、よくある誤解

ひとりで抱え込まず、内容に合った窓口に相談しましょう。
ひとりで抱え込まず、内容に合った窓口に相談しましょう。

主な相談先

相談先相談できること
消費者ホットライン(188)近くの消費生活センターにつながる。契約トラブル全般の相談
法テラス法的なトラブルの相談窓口の案内、条件により無料法律相談
弁護士請求できる内容の判断、交渉・調停・訴訟の代理
都道府県の宅建業の担当窓口宅建業者の対応に問題がある場合の相談
不動産適正取引推進機構(RETIO)不動産取引に関する情報提供・相談

誤解1:「人が亡くなっていたなら、必ず告知違反になる」

自然死や日常生活の中での事故は、原則として告知の対象外です。また、賃貸ではおおむね3年が過ぎた事案も原則として告知不要とされています。知らされなかった=違反、とは限らない点を押さえておきましょう。

誤解2:「すぐ引っ越せば、あとで費用を請求すればいい」

記録を残さずに引っ越すと、契約時の説明の内容や、事実を知った日付を証明しにくくなります。引っ越す前に、手元の書類や連絡の記録を整理しておきましょう。

誤解3:「事故物件サイトに載っていたから、告知違反を証明できる」

事故物件公示サイトは投稿をもとにした情報で、正確とは限りません。サイトの情報だけでは、告知が必要な出来事だったか、相手が知っていたかまでは分かりません。請求を考えるなら、不動産会社や管理会社への確認など、事実を裏づける材料を集めることが大切です。

次に何をすればいいか:事実の確認と、早めの相談を

亡くなった方への配慮を忘れずに、落ち着いて手続きを進めましょう。
亡くなった方への配慮を忘れずに、落ち着いて手続きを進めましょう。

今日からできること

  1. 契約書・重要事項説明書・告知書・広告を手元にそろえる
  2. 事故の事実を知ったきっかけと日付をメモする
  3. 不動産会社・管理会社に事実関係を確認する
  4. 消費者ホットライン188や弁護士に相談する
  5. 売買の場合は、知ってから1年以内の通知を意識して、書面で売主に伝える

これから物件を選ぶ方は、中古マンション・中古住宅の購入前の確認方法や事故物件の賃貸の探し方も参考にしてください。

買ってしまった家を手放したい方へ

事故物件と知らずに購入し、「もう住み続けたくない」と感じている方もいらっしゃると思います。売主への請求とは別に、家を手放すという選択肢もあります。売却する場合は、今度は自分が売主として事実を告知する立場になります。売主としての告知は事故物件の売却と告知義務で解説しています。

株式会社GEEZにご相談ください

当社は大阪府全域で、事故物件・孤独死物件・相続物件を当社が直接買主となって買い取る不動産会社です。事情を承知のうえで買い取り、契約不適合責任は免責でお引き受けしています。請求の手続きは弁護士にご相談いただきつつ、売却のご相談は当社で並行して承ります。

事故物件の売却・相談は株式会社GEEZへ大阪府全域で、事故物件・孤独死物件・相続物件を当社が直接買い取っています。特殊清掃の前や、遺品・家財が残ったままでもご相談いただけます。査定・相談は無料、秘密厳守です。
TEL 06-7777-4333(10:00〜19:00、水・日定休)/相談フォームはこちら