特殊清掃と原状回復の違い:結論は「清掃」と「工事」

特殊清掃は清掃業、原状回復はリフォーム工事という違いがあります。
特殊清掃は清掃業、原状回復はリフォーム工事という違いがあります。

特殊清掃は「原因を取り除く」作業

特殊清掃は、ご遺体の発見が遅れた現場などで、体液や汚れ、害虫、においの原因を取り除く作業です。汚れた寝具や家財の撤去、除菌、消臭が中心になります。作業の詳しい内容は特殊清掃とは?作業内容と遺品整理との違いで解説しています。

原状回復は「元の状態に戻す」工事

原状回復は、汚れやにおいが染み込んだ床材・壁紙・下地などをはがして新しくし、部屋を使える状態に戻す工事です。内装業者やリフォーム会社が行う仕事で、特殊清掃業者が工事まで請け負う場合と、別の業者に引き継ぐ場合があります。

項目特殊清掃原状回復工事
目的汚れ・害虫・においの原因を取り除く傷んだ部分を元の状態に戻す
主な作業汚染物の撤去、除菌、消臭、害虫駆除床・壁紙・下地・設備の交換
順番先に行う清掃・消臭のあとに行う
担い手特殊清掃業者内装業者・リフォーム会社

順番を間違えると二度手間になる

においの原因が残ったまま壁紙や床を張り替えると、あとからにおいが戻ってくることがあります。まず特殊清掃と消臭を終え、においが消えたことを確認してから工事に入るのが基本の順番です。

依頼する側としては、「清掃でどこまで戻るのか」「工事は何が必要か」を最初の現地調査でまとめて聞いておくと、全体の費用と日数の見通しが立ちます。清掃業者が工事まで対応できない場合は、工事を引き継ぐ業者に清掃の内容(どこを撤去し、どこを消臭したか)を伝えてもらうと、工事の範囲を決めやすくなります。清掃から工事までの流れと日数は特殊清掃の流れと日数でも解説しています。

孤独死の現場で原状回復が必要になる範囲

体液が床下まで届いているかどうかで、工事の範囲が大きく変わります。
体液が床下まで届いているかどうかで、工事の範囲が大きく変わります。

汚れがどこまで届いているかで決まる

工事の範囲は、ご遺体のあった場所から汚れがどこまで染み込んだかで決まります。一般的には、表面だけで済む場合、床材をはがす場合、床下の下地まで交換する場合の3段階に分けて考えます。

  • 表面だけ:フローリングの表面や畳の交換、壁紙の張り替えで済む
  • 床材まで:フローリングをはがし、新しく張り直す
  • 下地まで:床下の合板や根太(床を支える木材)まで交換する。マンションではコンクリートの表面処理が必要になることもある

においが染み込みやすい場所

においは空気に乗って部屋中に広がり、壁紙、天井、カーテン、押し入れの中、エアコンの内部などに残ります。発見までの日数や季節によっては、ご遺体があった部屋以外も壁紙の張り替えが必要になります。エアコンや換気扇は、内部の洗浄か交換を検討します。

木造の一戸建てでは、柱や床下の土台など、建物の骨組みに近い部分ににおいが残ることがあります。この場合は、表面の工事だけでは足りず、部分的に骨組みを補修したり、消臭剤を塗って閉じ込める処理(コーティング)をしたりします。どこまで手を入れるかは、現場を見た業者でないと判断できないため、見積もりの際に「どの部分まで汚れが届いているか」を写真付きで説明してもらいましょう。

浴室・トイレの場合

浴室で亡くなった場合は、浴槽や排水管、給湯器まで影響が出ることがあり、ユニットバスごと交換するケースもあります。浴室特有の注意点は浴室での孤独死と清掃で解説しています。

原状回復の費用の目安と、費用が増える要因

費用は部屋の広さよりも、汚れの深さと工事の範囲で変わります。
費用は部屋の広さよりも、汚れの深さと工事の範囲で変わります。

費用の目安は「数万円〜数百万円」と幅が大きい

原状回復工事の費用は、壁紙の部分張り替えで済めば数万円程度、床の下地まで交換し、複数の部屋の内装をやり直すと数十万円〜100万円を超えることもあります。浴室の交換や一戸建ての広い範囲の工事では、さらにかかることがあります。いずれも目安で、物件の構造・広さ・時期や業者によって大きく変わります。特殊清掃そのものの費用は特殊清掃の費用相場をご覧ください。

費用が増えやすい要因

  • 発見までに時間がかかり、汚れが床下まで届いている
  • 夏場で、においが建物全体に広がっている
  • ゴミや家財が多く、撤去に時間がかかる
  • マンションで、下の階への漏れがあり、共用部分や他の住戸の工事も必要
  • 古い建物で、工事をしてみたら別の傷み(腐食やシロアリなど)が見つかった

見積もりは「清掃」と「工事」を分けて取る

清掃と工事を1社にまとめて頼むと手間は減りますが、内訳が見えにくくなることがあります。清掃の費用と工事の費用を分けた見積もりをもらうと、比較もしやすく、保険を使う場合の説明にも役立ちます。見積書のチェック方法は特殊清掃の見積もりの内訳を参考にしてください。

また、工事の見積もりは、清掃と消臭が終わった段階で取り直すと正確になります。清掃前の段階では汚れの深さが見えないため、「はがしてみたら下地まで傷んでいた」として追加費用が出ることがよくあります。最初の見積もりに「追加になる可能性がある工事」とその目安を書いてもらうと、あとで慌てずに済みます。

賃貸の原状回復は誰が負担する?ガイドラインの考え方

賃貸の原状回復には、国土交通省のガイドラインという目安があります。
賃貸の原状回復には、国土交通省のガイドラインという目安があります。

原状回復ガイドラインの基本

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、普通に住んでいて生じる汚れや、年月がたって古くなること(経年劣化)は大家さんの負担、借主の不注意などで生じた傷みは借主の負担、という考え方が示されています。また、借主が負担する場合でも、壁紙などは年数に応じて負担割合を下げる考え方がとられています。

孤独死の場合は考え方が分かれる

病気で亡くなること自体は、借主の不注意とはいえません。そのため、孤独死の原状回復費用を相続人がどこまで負担するかは、事案によって考え方が分かれます。発見の遅れによる汚損の範囲、契約書の内容、相続人が相続するか放棄するかによっても結論が変わります。金額が大きい場合や争いになった場合は、弁護士に相談してください。

相続人・保証人の立場から見たポイント

賃貸での損害の負担については賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?で詳しく説明しています。大家さんから見積もりが届いたら、工事の範囲が汚れた部分に見合っているか、古い設備をまとめて新しくしていないかを確認しましょう。

たとえば、もともと10年以上使われていた壁紙を張り替える場合、ガイドラインの考え方では、壁紙の価値は年数とともに下がっているとみなされます。そのため、張り替え費用の全額をそのまま借主側が負担するとは限りません。請求書に納得できない点があれば、項目ごとに根拠を尋ね、必要に応じて専門家に見てもらいましょう。大家さんの側も、根拠を示せる見積書や写真を残しておくと、相続人との話し合いが進めやすくなります。

どこまでやれば貸せる・売れる?目的別の考え方

貸すなら住める状態に、売るなら買い手に合わせた状態にするのが目安です。
貸すなら住める状態に、売るなら買い手に合わせた状態にするのが目安です。

貸す場合:においが完全に消えていることが条件

賃貸に出すなら、内見に来た人がにおいや汚れに気づかない状態が最低条件です。床・壁紙・設備の交換までの原状回復が必要になることが多く、加えて次の入居者への告知も必要です。国交省のガイドラインでは、特殊清掃が行われた場合、賃貸では発覚からおおむね3年は告知が必要とされています。家賃設定などは事故物件を賃貸に出すときの家賃設定をご覧ください。

仲介で売る場合:においの除去までは必要

一般の買主に仲介で売る場合、内装をすべて新しくする必要はありませんが、においや汚れが残っていると内見で敬遠されます。特殊清掃と消臭まではしておき、内装は買主がリフォームする前提で価格を調整するという考え方もあります。リフォームをしても告知は必要です。詳しくは事故物件のリフォーム費用と範囲で解説しています。

買取で売る場合:清掃前でも相談できる

不動産会社が直接買い取る「買取」では、買い取ったあとに会社側で清掃や工事をする前提で価格を出すため、特殊清掃の前や家財が残ったままの状態でも売却できることがあります。工事費を先に払う必要がない点が大きな違いです。

目的必要な作業の目安告知
賃貸に出す特殊清掃+消臭+内装の原状回復までおおむね3年は必要
仲介で売る特殊清掃+消臭まで。内装は状態と価格で判断期間の目安なし。告げるのが基本
買取で売る清掃前の状態でも相談できる買主(買取会社)に事情を伝える
自分や家族が住む特殊清掃+消臭+必要な内装工事将来売る・貸すときに必要になる

原状回復でよくある失敗と注意点

マンションでは、工事前に管理組合や近隣への配慮も必要です。
マンションでは、工事前に管理組合や近隣への配慮も必要です。

失敗1:消臭の確認前に内装工事をしてしまう

においの原因が床下に残ったまま新しい床を張ると、暑い時期ににおいが戻ることがあります。工事に入る前に、業者と一緒ににおいが消えたかを確認しましょう。確認は、部屋を閉め切って数日おいたあとに行うと正確です。換気した直後はにおいを感じにくく、見落としやすいためです。においの残り方については孤独死のにおいはいつまで残る?も参考にしてください。

失敗2:売るつもりなのに内装まで新しくする

売却を考えているのに、賃貸向けの全面リフォームまでしてしまうと、工事費が売却価格に上乗せできず損をすることがあります。工事の前に「貸すか売るか」を決めるのが大切です。

失敗3:マンションの管理規約を確認しない

分譲マンションでは、床材の種類(防音性能)や工事の時間帯が管理規約で決められていることがあります。下の階に影響が出ている場合は、管理組合や管理会社との調整も必要です。対応の流れはマンションで孤独死があったときの管理組合の対応を参考にしてください。

原状回復に迷ったら、次に何をすればいいか

工事をする前に、家の行き先と費用を比べておくと安心です。
工事をする前に、家の行き先と費用を比べておくと安心です。

工事の見積もりと売却価格を並べて比べる

原状回復に何十万円もかけるべきかどうかは、その後の使い道で決まります。工事の見積もりと、今の状態で売った場合の価格を並べると、どちらが負担が少ないかが見えてきます。

清掃前・工事前の状態で買取の相談ができます

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を当社が直接買主となって買い取っています。特殊清掃の前でも、遺品や家財が残ったままでもご相談いただけます。古物商許可があるため家財の回収も行え、契約不適合責任は免責で買い取ります。チラシやポータルサイトに載せないため、近所に知られずに売却できます。

相談は無料・秘密厳守です

「直してから売るべきか、このまま売るべきか」という段階のご相談でもかまいません。査定・相談は無料です。お問い合わせフォーム、またはお電話(06-7777-4333/10:00〜19:00、水・日定休)でご連絡ください。