ペット臭の特殊清掃とは?結論は「染み込んだ原因まで取り除く作業」

表面の掃除で取れないにおいは、床や壁の内側に原因があります。
表面の掃除で取れないにおいは、床や壁の内側に原因があります。

通常のハウスクリーニングとの違い

ハウスクリーニングは、目に見える汚れを落とし、部屋をきれいにする作業です。一方、ペット臭の特殊清掃は、床材のすき間や下地、壁の内側、畳の芯まで染み込んだ尿やふんの成分を取り除き、においの原因そのものを断つことを目的にしています。汚れた床材をはがし、下地を除菌・消臭し、必要に応じて専用の薬剤で表面を覆う(コーティングする)こともあります。

特殊清掃が必要になりやすいケース

  • 多くの犬や猫を室内で飼っていた(多頭飼育)
  • トイレのしつけができておらず、同じ場所で長く排せつしていた
  • 飼い主が病気や高齢で掃除ができず、ふん尿がたまっていた
  • 飼い主が亡くなり、しばらくペットだけが室内に残されていた

人が亡くなった現場とは清掃の考え方が少し違う

孤独死の現場の特殊清掃は、ご遺体があった場所の体液や汚れが中心です。ペット臭の場合は、汚れが部屋全体や家全体に広く散らばっていることが多く、作業の範囲が広くなりやすいのが特徴です。飼い主の方が亡くなった現場にペットがいた場合は、その両方への対応が必要です。特殊清掃全般の作業内容は特殊清掃とは?で解説しています。

どの作業が必要かは、においの強さと汚れの広がりを見て判断します。現地調査では、床をめくった下の状態や、壁の下の方の染みなどを確認してもらい、「表面の清掃で済むのか」「床材の交換まで必要なのか」を説明してもらいましょう。説明を聞いたうえで、家族で清掃の範囲を決めるのが失敗しにくい進め方です。

ペット臭が取れない理由:においは床下と壁に残る

木造の床や畳は、液体を吸い込みやすい素材です。
木造の床や畳は、液体を吸い込みやすい素材です。

尿の成分は時間がたつほど落ちにくくなる

ペットの尿には、時間がたつと強いにおいを出す成分が含まれています。床にこぼれた尿は、フローリングのすき間から下地の合板へ、畳なら芯まで染み込みます。乾くと見た目ではわからなくなりますが、湿気の多い日や暑い日にまたにおいが出てきます。表面を拭いても取れないのは、においの元が内側に残っているからです。

においが残りやすい場所

  • フローリングのすき間と下地の合板
  • 畳とその下の床板
  • 壁紙の下の方と、その裏の石こうボード(マーキングされた場所)
  • 柱やドア枠の下の部分
  • カーペット、ソファ、カーテンなどの布製品
  • エアコンの内部や換気扇

害虫や衛生面の問題も

ふん尿やエサの食べ残しがたまった部屋では、ハエやゴキブリ、ダニなどの害虫が発生しやすくなります。作業する人がマスクや手袋、防護服で身を守る必要があるのはこのためです。ご家族が自分で片付ける場合も、素手で触れない、換気をしながら短時間で行うなど、体調に十分気をつけてください。量が多い場合は無理をせず業者に任せましょう。

また、においには「慣れ」があります。毎日その部屋で暮らしていた方や、何度も出入りしているご家族は、においを弱く感じがちです。売却や賃貸を考えているなら、しばらくその家に入っていない人や業者に確かめてもらうと、外から来た人がどう感じるかがわかります。

ペット臭の特殊清掃の費用の目安と、費用が変わる要因

床の張り替えまで必要かどうかで、費用は大きく変わります。
床の張り替えまで必要かどうかで、費用は大きく変わります。

費用の目安

汚れの程度主な作業費用の目安
軽い(一部の床や壁)清掃、除菌、消臭数万円程度から
中程度(部屋全体)清掃、消臭、床材や壁紙の部分交換数十万円程度
重い(多頭飼育で家全体)家財撤去、床下地や壁の交換、長期の消臭100万円を超えることもある

いずれも目安で、建物の広さや構造、汚れの深さ、地域や時期、業者によって大きく変わります。現地を見てもらわないと正確な金額は出ません。

費用が増えやすい要因

  • 汚れが床下の下地や柱にまで届いている
  • 家財やケージ、ペット用品の量が多い
  • 害虫の駆除が必要
  • 部屋数が多く、家全体ににおいが回っている
  • 消臭機材を使う日数が長くなる

見積もりは「清掃」と「工事」を分けてもらう

ペット臭の現場では、清掃と内装工事がセットになることが多くなります。項目を分けた見積もりをもらうと、どこまでを清掃で、どこからを工事で対応するのかがわかり、比較もしやすくなります。見積書の見方は特殊清掃の見積もりの内訳で解説しています。オゾンを使った消臭についてはオゾン脱臭の仕組みと注意点をご覧ください。

ペット用品やケージ、汚れたカーペットなどは、量が多いと運搬と処分の費用がかさみます。家庭から出るごみを運ぶには市区町村の許可が必要なため、業者がごみの運搬をどうするのかも確認しておきましょう。許可の種類は特殊清掃に必要な資格・許可で解説しています。

賃貸でのペット臭の原状回復は誰が負担する?

賃貸の原状回復には、国土交通省のガイドラインという目安があります。
賃貸の原状回復には、国土交通省のガイドラインという目安があります。

ガイドラインの考え方:通常の使い方を超える汚れは借主負担

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、普通に暮らしていて生じる汚れや古くなることは大家さんの負担、借主の使い方によって生じた傷みは借主の負担、という考え方が示されています。ペットによる柱や壁紙の傷、においの付着は、借主の負担になり得るものの例としてあげられています。ペット可の物件であっても、それだけで借主の負担がなくなるわけではありません。

年数による負担割合の考え方

借主が負担する場合でも、壁紙などは使った年数に応じて価値が下がっているとみなし、負担の割合を減らす考え方がとられています。たとえば長年住んでいた部屋の壁紙を張り替える場合、張り替え費用の全額をそのまま借主が負担するとは限りません。契約書に特約がある場合は、その内容も確認が必要です。

入居者が亡くなっていた場合

入居者が亡くなり、室内にペットのにおいや汚れが残っていた場合は、相続人が借主の立場を引き継ぐかどうかで負担の話が変わります。相続放棄を考えている場合は、清掃費用の支払いや家財の処分を進める前に、弁護士・司法書士に相談してください。賃貸での費用負担の全体像は賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?で解説しています。

大家さんの立場からは、退去の立ち会いのときに、においの強さや汚れの場所を写真に残し、見積書とあわせて説明できるようにしておくと、借主や相続人との話し合いが進めやすくなります。請求の根拠をはっきりさせることが、トラブルを防ぐいちばんの方法です。

残されたペットがいる場合と、多頭飼育の現場での注意点

動物の命を守ることと、近隣への配慮を同時に進める必要があります。
動物の命を守ることと、近隣への配慮を同時に進める必要があります。

まず動物の保護を優先する

飼い主が亡くなったり入院したりして、室内にペットが残されている場合は、清掃より先に動物の保護を考えます。親族や知人で引き取れる人を探し、難しい場合は、お住まいの自治体の動物愛護の担当窓口(保健所や動物愛護センターなど)に相談してください。孤独死の現場でペットが残された場合の対応は孤独死でペットが残されたときの対応で詳しく解説しています。

多頭飼育の現場は近隣との関係にも配慮

多頭飼育の現場では、においや鳴き声、害虫などで、すでに近所の方に迷惑がかかっていることがあります。清掃の日程が決まったら、隣の方や管理会社にひと言伝え、作業の時間帯や搬出の方法に配慮すると、関係がこじれにくくなります。

家族が抱え込まないことが大切

多頭飼育の背景には、飼い主の病気や高齢、社会的な孤立がある場合も少なくありません。ご家族だけで片付けや動物の世話を抱え込まず、自治体の窓口や専門の業者、地域包括支援センターなど、頼れるところに早めに相談しましょう。ゴミ屋敷の状態になっている場合はゴミ屋敷の清掃と特殊清掃も参考にしてください。

動物の引き取り先が決まるまでの間、エサや水やりのために誰が家に入るのかも決めておく必要があります。鍵の管理や出入りの記録(いつ、誰が、何のために入ったか)を残しておくと、あとで家財の扱いをめぐる行き違いを防げます。

ペット臭が残る家を売るときの注意点

においの問題は、売却のときに買主へ伝えておく必要があります。
においの問題は、売却のときに買主へ伝えておく必要があります。

においは「物件の不具合」として伝える

ペット臭は、人の死にかかわる心理的な問題とは違い、建物の状態そのものの問題です。においが残っていたり、床下まで汚れが届いていたりする場合は、売るときに告知書(物件状況等報告書)に書いて、買主に伝えておくことが大切です。知っていながら伝えなかった場合は、契約不適合責任を免責にする特約があっても、その責任を免れることはできません。

清掃してから売るか、そのまま売るか

仲介で一般の買主に売る場合、においが残っていると内見の印象が悪くなり、価格が下がったり、なかなか買い手が見つからなかったりします。とはいえ、床や壁の交換まで行うと費用が大きくなり、その分を売却価格に上乗せできるとは限りません。清掃費用と、清掃した場合・しない場合の売却価格を比べて判断するのがおすすめです。

買取なら清掃前の状態でも相談できる

不動産会社が直接買い取る「買取」では、買い取ったあとに会社側で清掃や工事を行う前提で価格を出すため、清掃前・家財が残ったままの状態でも売却できることがあります。売れにくい理由とその対策は事故物件が売れない理由と対策でも解説しています。

なお、住宅ローンが残っている家や、相続登記がまだの家は、売る前に整理が必要な手続きがあります。相続した家の場合は、相続登記が2024年4月1日から義務になっている点にも注意してください。手続きの細かい判断は、司法書士に確認すると確実です。

ペット臭の家の扱いに困ったら、次に何をすればいいか

清掃と売却をまとめて相談すると、無駄な費用を抑えやすくなります。
清掃と売却をまとめて相談すると、無駄な費用を抑えやすくなります。

まずは清掃の見積もりと家の行き先を並べて考える

においの強い家は、清掃や工事に大きな費用がかかることがあります。その家に住むのか、貸すのか、売るのかによって、必要な作業の範囲は変わります。清掃の前に家の方針を決めると、かける費用の上限が見えてきます。

清掃前・家財が残ったままでも買取の相談ができます

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件・空き家を当社が直接買主となって買い取っています。特殊清掃の前でも、家財が残ったままでもご相談いただけます。古物商許可を持っているため家財の回収も行えます。契約不適合責任は免責で買い取り、チラシやポータルサイトに載せないため、近所に知られずに売却できます。

相談は無料・秘密厳守です

「清掃してから売るべきか迷っている」という段階でもかまいません。査定・相談は無料です。お問い合わせフォーム、またはお電話(06-7777-4333/10:00〜19:00、水・日定休)でご連絡ください。