孤独死の現場のハエ・ウジはどこから来るのか

においに引き寄せられて外から入る
ハエの仲間には、生き物が亡くなったときに出るにおいにとても敏感な種類がいます。人が気づくよりずっと早い段階でにおいをかぎつけ、換気口、窓やサッシのすき間、玄関ドアの郵便受け、排水口などから部屋に入り込みます。閉め切った部屋でも、まったくすき間のない住まいはほとんどないため、外から入ってくるのを完全に防ぐことは難しいのです。
卵からウジ、ウジからハエへ
部屋に入ったハエは卵を産みつけます。卵からかえった幼虫がウジで、育つとさなぎになり、やがて成虫のハエになります。気温が高い時期ほど、この成長のサイクルが速く進み、短い期間で数が一気に増えます。部屋の中で育ったハエがまた卵を産むため、時間がたつほど増え方が大きくなるのも特徴です。夏場に発見が遅れた現場で害虫の被害が大きくなりやすいのはこのためです。冬でも、暖房がついたままの部屋では同じように増えることがあります。
ハエ以外の害虫
現場によっては、ハエのほかに、ゴキブリや、食べ物・ごみに集まる小さな虫が増えていることもあります。とくに家財やごみが多い部屋では、害虫のすみかが多く、駆除の範囲が広がります。これらの害虫は、汚れの処理と家財の撤去をしないかぎり、駆除してもすぐに戻ってきます。ごみが多い住まいの清掃についてはゴミ屋敷清掃と特殊清掃もご覧ください。
害虫が知らせる「異変のサイン」

外から気づけるサイン
- 窓ガラスの内側に、たくさんのハエが集まっている
- 玄関や共用廊下、ベランダにハエがよく飛んでいる
- 郵便受けのまわりや換気口から、虫が出入りしている
- 独特のにおいとあわせて、虫が急に増えた
虫の数が少ないうちは、季節のせいだと思って見過ごされることもあります。こうしたサインに、新聞や郵便物がたまっている、夜になっても明かりがつかない(またはつけっぱなし)といった様子が重なっている場合は、中で何かが起きているおそれがあります。
気づいたらどうするか
近所の方が気づいた場合、自分でドアを開けたり、窓から中に入ったりしないでください。中で倒れている方がまだ助かる状態かもしれない場合もあれば、警察の確認が必要な場合もあり、いずれにしても専門の人に任せるのが一番です。賃貸なら管理会社や大家に、連絡がつかないときや緊急と思われるときは警察に相談します。疑わしいときの連絡先や注意点は孤独死が疑われるときのサインと通報先でくわしく解説しています。
家族が気づいた場合
離れて暮らす家族が、近所の方や管理会社から「虫が多い」と連絡を受けることもあります。連絡がつかない場合は、一人で部屋に入らず、警察や管理会社に立ち会いをお願いしてください。発見後の手続きの流れは孤独死の発見から葬儀までの流れをご覧ください。
近隣への影響と、ご遺族・オーナーができる配慮

集合住宅では隣の住戸や共用部に広がる
マンションやアパートでは、ハエが窓や換気口から出て、隣の住戸のベランダや共用廊下、ごみ置き場などに広がることがあります。壁の中の配管のすき間を通って、隣の部屋の中に虫が出てくることもあります。近隣の方にとっては、衛生面の不安に加えて、精神的にも大きな負担になります。
一戸建てでも近所の家に影響が出る
一戸建てでも、家と家の距離が近い住宅地や、長屋・連棟住宅では、においや害虫がお隣に届くことがあります。とくに夏場は窓を開けている家も多く、苦情につながりやすい時期です。空き家になったあとも汚れが残っていると、季節が変わるたびに虫が出ることがあるため、早めの清掃が近所との関係を守ることにもつながります。
できる配慮
- 警察の確認が終わったら、できるだけ早く業者に駆除を依頼する
- 管理会社・管理組合に状況を伝え、共用部の対応を相談する
- 近隣の方へ、作業の予定と連絡先を伝える(くわしい事情まで話す必要はない)
- 作業が終わったら、改めてひと言あいさつをする
苦情を受けたときの説明やお詫びの仕方は事故物件の近隣からの苦情への対応で解説しています。分譲マンションの場合はマンションで孤独死が起きたときの管理組合の対応も参考になります。
ハエ・ウジの駆除でやってはいけないこと

窓を開け放たない
虫やにおいを外に出そうとして窓を開け放つと、部屋の中のハエが一気に外へ出て、近所に広がってしまいます。同時に、においも外に広がり、新たなハエを呼び寄せることにもなります。業者が来るまでは、窓やドアは閉めたままにしておくのが基本です。
自分で殺虫剤や燻煙剤を使わない
市販の殺虫剤で目の前のハエを退治しても、部屋の奥や家財のすき間にいるウジやさなぎは残ります。また、部屋に入ること自体が、汚れに触れる危険をともないます。燻煙タイプの殺虫剤は、使い方によっては煙で火災報知器が作動したり、集合住宅で隣室に煙が流れたりすることもあります。駆除は、汚れの処理とセットで専門業者に任せるのが安全です。
汚れを残したまま駆除だけしない
害虫は、においと汚れがある限り、外から何度でもやってきます。一度駆除しても、汚れた寝具や床材が残っていれば、また増えてしまいます。とくに、ウジは明るい所をきらって家具の下やすき間、畳の裏などにもぐり込むため、表から見える所を片付けただけでは取り残しが出ます。駆除と同時に、汚れの元を取り除く特殊清掃を進めることが、結果として近隣への影響と費用の両方を小さくします。特殊清掃の作業内容は特殊清掃とは?をご覧ください。
孤独死の現場の害虫駆除の流れと費用の考え方

駆除の一般的な流れ
- 作業前の駆除:部屋に入る前に、薬剤でハエを減らし、作業員の安全と近隣への飛散を防ぐ
- 汚染物の撤去:ウジやさなぎがいる寝具・畳・家財などを、虫がもれないよう梱包して運び出す
- 清掃と消毒:床やすき間の汚れを取り除き、虫が育つ場所をなくす
- 仕上げの駆除と確認:残った虫の駆除と、しばらくたってから再発がないかの確認
作業の順番は業者や現場によって多少変わりますが、部屋に入る前と、作業が終わったあとの2回以上駆除を行うのが一般的です。最初の駆除をしないまま作業を始めると、運び出すときにハエが廊下や外に散らばってしまうため、近隣への配慮の面でも大切な工程です。作業期間中は、玄関や窓のすき間をふさいで、虫が外に出ないようにすることもあります。
費用の考え方
害虫駆除の費用は、特殊清掃の見積もりの中の一項目として含まれていることが多く、虫の量、部屋の広さ、家財の量、駆除を何回行うかで変わります。害虫の被害が大きいほど、清掃・消臭・家財の処分の費用も増える傾向があります。1K・ワンルームの費用の目安は1K・ワンルームの特殊清掃相場、見積書の確認ポイントは特殊清掃の見積もりの内訳で解説しています。
再発したときの対応を確認しておく
作業の時点でさなぎの状態だったものが、数日たってからハエになって出てくることがあります。見積もりの段階で、作業後に虫が出てきた場合に再度駆除してもらえるか、その費用はどうなるかを確認しておくと安心です。あわせて、作業後しばらくは窓やドアの開け閉めを控えめにし、虫が出てきたら早めに業者へ連絡するよう、家族や管理会社と共有しておくとよいでしょう。
賃貸オーナー・管理会社が害虫被害に対応するときのポイント

まずは共用部とほかの入居者を守る
アパートやマンションで入居者の孤独死があり、害虫が発生している場合、オーナーや管理会社がまず考えたいのはほかの入居者への影響を広げないことです。警察の確認が終わったら、相続人や連帯保証人への連絡と並行して、できるだけ早く駆除と清掃の手配を進めます。共用廊下やごみ置き場など共用部の清掃・駆除は、オーナー側の判断で進められることが多い部分です。
部屋の中の作業は相続人との調整が必要
亡くなった方の部屋の中にある家財は、相続人のものです。衛生上どうしても急ぐ駆除や汚染物の撤去と、家財全体の処分とでは、相続人の了解の取り方が変わってきます。相続人が相続放棄を考えている場合は、とくに慎重な対応が必要です。残置物の扱いに備えるには、国土交通省の「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を参考にする方法もあります。孤独死が起きたときの大家さんの対応全体は大家向け孤独死対応マニュアルで解説しています。
ほかの入居者への説明
ほかの入居者から問い合わせがあった場合は、くわしい事情まで話す必要はありませんが、害虫の駆除と清掃を行っていること、作業の予定、連絡先は伝えておくと安心につながります。隣の部屋で虫が出ているなど直接の被害がある場合は、その部屋の駆除もあわせて手配するなど、個別の対応も考えましょう。対応が遅れると、ほかの入居者の退去につながることもあるため、費用の負担の話し合いと並行して、駆除だけは先に進める判断も大切です。費用を誰がどこまで負担するかは、契約内容や事情で変わるため、必要に応じて弁護士に相談してください。
害虫被害のあった家を手放すか迷ったら

駆除・清掃のあとに残る悩み
害虫の被害があった現場は、駆除と清掃が終わっても、ご遺族の気持ちの負担が大きく残ることがあります。「もうこの家には住めない」「貸すのも気が重い」と感じるのは自然なことです。無理に元どおりにしようとせず、清掃の範囲や家の今後について、専門家の意見を聞きながら決めていけば大丈夫です。長期間発見されず特殊清掃を行った場合は、国土交通省のガイドライン上も告知の対象となるため、貸す・売るときには事実を伝える必要があります。
清掃前・家財が残ったままでもご相談いただけます
株式会社GEEZは、事故物件・孤独死物件・相続物件を当社が直接買主となって買い取る不動産会社です。大阪府全域に対応しています。特殊清掃の前でも、遺品や家財が残ったままでもご相談いただけます。古物商許可を持っているため、家財の回収もあわせて行えます。契約不適合責任は免責で買い取り、チラシやポータルサイトへの掲載をしないため、近所に知られずに進められます。
相談・査定は無料、秘密は厳守します
「清掃を先にするべきか、そのまま売れるのか分からない」という段階でもかまいません。相談フォーム、またはお電話(06-7777-4333/10:00〜19:00、水・日定休)でお問い合わせください。









