孤独死が起きたときの大家の対応フロー(全体像)

対応は大きく6つの段階に分かれます。
対応は大きく6つの段階に分かれます。

対応の流れ

段階大家・管理会社がやること
1. 発見・通報異変に気づいたら警察へ。室内には不用意に入らない
2. 警察の確認検視や身元確認に協力。部屋の鍵の管理
3. 関係者への連絡連帯保証人・緊急連絡先・相続人へ連絡。管理会社や保険会社にも報告
4. 契約と残置物相続人と解約・明け渡し・残置物の扱いを決める
5. 原状回復特殊清掃・リフォーム。費用負担の話し合い
6. 再募集告知の要否を確認し、家賃と募集方法を決める

大家さんが最初に気をつけたいこと

孤独死は、大家さんにとっても精神的な負担が大きい出来事です。一方で、入居者の遺族は大切な家族を亡くしたばかりで、気持ちの整理がついていません。費用や明け渡しの話を急ぎすぎると、関係がこじれて話し合いが長引くことがあります。お悔やみの言葉を伝えたうえで、必要な連絡を一つずつ進める姿勢が、結果的に解決を早めます。

管理会社に任せている場合

管理会社に管理を委託している場合は、多くの対応を管理会社が窓口となって進めます。ただし、原状回復の範囲、費用請求、再募集の家賃といった判断は、最終的に大家さんがすることになります。管理会社任せにせず、各段階で報告を受け、記録を残しておきましょう。記録は、保険の請求や相続人との話し合いで役に立ちます。

発見から警察対応まで:室内には不用意に入らない

異変を感じたら、まず警察に相談するのが基本です。
異変を感じたら、まず警察に相談するのが基本です。

異変のサインと、安否確認の方法

郵便物がたまっている、においがする、ハエが窓に集まっている、家賃の引き落としができない、近隣から「最近見かけない」と連絡があった。こうしたサインがあれば、まず入居者本人や緊急連絡先に電話をしてみます。それでも連絡がつかず、室内で倒れている可能性があるときは、警察(緊急時は110番)に相談しましょう。

合鍵で一人で入らない

大家さんは合鍵を持っていても、入居者の部屋に勝手に入ることは原則できません。緊急で安否確認が必要な場合でも、警察官や管理会社の担当者などに立ち会ってもらって入るのが安全です。もし室内で亡くなっていた場合、現場をそのままにしておくことが警察の確認のために必要です。物には触らず、すぐに外へ出て通報しましょう。異変のサインと通報先は孤独死が疑われるときのサインと通報先でも解説しています。

警察の確認が終わるまで

警察は、事件性の有無を確認するため検視を行い、身元の確認や遺族への連絡を進めます。この間、大家さんは警察から部屋の状況や入居者の情報を聞かれることがあります。賃貸借契約書や入居申込書を手元に用意しておくとスムーズです。警察の確認が終わると、部屋の鍵の管理は大家さん側に戻ることが多いです。においや害虫が近隣に広がっている場合は、この段階で消臭・害虫駆除などの応急処置を検討します(本格的な清掃は相続人と話し合ってから)。

相続人・連帯保証人への連絡と、賃貸借契約の扱い

入居者が亡くなっても、賃貸借契約は自動的には終わりません。
入居者が亡くなっても、賃貸借契約は自動的には終わりません。

賃貸借契約は相続人に引き継がれる

入居者が亡くなっても、賃貸借契約は当然には終了せず、借主の地位は相続人に引き継がれます。そのため、解約や明け渡しの手続きは相続人と行うのが原則です。相続人が複数いる場合は、代表者を決めてもらって話を進めると効率的です。

連帯保証人への請求には「極度額」に注意

2020年4月1日以降に締結した賃貸借契約の個人の連帯保証は、極度額(保証の上限額)の定めがないと無効です。連帯保証人に原状回復費用などを請求する場合は、契約書の極度額を確認しましょう。家賃債務保証会社を利用している場合は、保証会社にも早めに連絡します。

相続人が相続放棄した場合

相続人が全員相続放棄すると、話し合う相手がいなくなります。この場合、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てて手続きを進める方法がありますが、予納金などの費用と時間がかかります。相続人が見つからない、全員が放棄したといったケースは判断が難しいため、弁護士に相談してください。費用を誰に請求できるかは賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?で詳しく解説しています。

残置物の処理:大家が勝手に処分してはいけない理由

部屋の荷物は相続人の財産です。処分には相続人の同意が必要です。
部屋の荷物は相続人の財産です。処分には相続人の同意が必要です。

荷物は相続人の財産

亡くなった入居者の家財は、相続によって相続人のものになります。大家さんが「早く次の人に貸したい」と考えて勝手に処分すると、相続人から損害賠償を求められるおそれがあります。法律では、権利があっても裁判などの手続きを経ずに自分で実力行使することは原則として認められていません(自力救済の禁止)。

相続人と書面で取り決める

相続人と連絡がついたら、次のことを書面で取り決めておくと安心です。

  • 解約日と明け渡し日
  • 残置物を誰が、いつまでに、どう処分するか(相続人が業者に依頼するか、大家側で処分してよいか)
  • 処分費用・特殊清掃費用の負担
  • 敷金の精算方法

相続人が相続放棄を検討している場合、家財の処分は相続を認めたとみなされるおそれがあるため、相続人側が慎重になることがあります。2023年4月施行の改正民法940条では、放棄の時点で相続財産を現に占有している人に保存の義務が定められています。相続人の事情も理解して話を進めましょう。

今後の入居者には「モデル契約条項」が有効

国土交通省は2021年6月に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています。単身の高齢者などとの賃貸借契約で、亡くなったときの契約解除や残置物の処理を任せる人(受任者)をあらかじめ決めておく仕組みです。これからの入居者との契約で取り入れれば、同じような事態になったときの対応がしやすくなります。入居時の予防策は大家ができる入居時の孤独死予防で紹介しています。

原状回復と特殊清掃:費用の目安と誰に請求できるか

通常の原状回復と、孤独死による特別な汚損は分けて考えます。
通常の原状回復と、孤独死による特別な汚損は分けて考えます。

原状回復の考え方

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、普通に暮らしていて生じる傷み(経年劣化・通常損耗)は大家さんの負担とされています。一方、孤独死で発見が遅れ、体液のしみ込みやにおいで床や壁の交換が必要になった場合、その費用を相続人や連帯保証人に請求できるかが問題になります。自然死は入居者の落ち度とは言えないため、請求できる範囲は事情によって判断が分かれます。特に、家賃の値下がり分などの損害まで請求できるかは慎重に考える必要があり、弁護士への確認をおすすめします。

費用の目安

特殊清掃の費用は、部屋の広さと汚れの程度で大きく変わります。ワンルームでも、床材の撤去や消臭作業が加わると数十万円になることがあります。費用は物件や時期で変わる目安なので、複数の業者から見積もりを取りましょう。相場の詳しい情報は孤独死の特殊清掃の費用相場は?をご覧ください。

大家向けの保険を確認する

大家さんが加入している保険に、孤独死による原状回復費用や家賃の損失を補償する特約が付いていることがあります。また、入居者が加入していた家財保険に関連する補償が付いていることもあります。事故が起きたら、早めに保険会社や代理店に連絡し、写真などの記録を残しておきましょう。保険の種類は孤独死保険とは?で解説しています。

再募集と告知:賃貸はおおむね3年が目安

告知の要否は、死因と発見の状況で変わります。
告知の要否は、死因と発見の状況で変わります。

告知が必要なケース・不要なケース

国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」(2021年10月公表)では、病死や老衰などの自然死は原則として告知不要とされています。ただし、長期間発見されず特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は告知の対象になります。賃貸の場合、告知が必要な事案でも、事案の発生(特殊清掃などが行われた場合はその発覚)からおおむね3年がたてば、原則として告知は不要とされています。ただし、借主から聞かれた場合や、事件性・社会的な影響が大きい事案は、期間にかかわらず告知が必要になる場合があります。

隣の部屋は原則として告知不要

ガイドラインでは、隣の住戸や、日常生活で通常使わない共用部分で起きた死は、原則として告知の対象外とされています。同じ建物の他の部屋の募集で、必要以上に心配する必要はありません。賃貸の告知の範囲は賃貸での事故物件の告知義務で詳しく解説しています。

家賃設定と募集の工夫

告知が必要な部屋は、相場より家賃を下げて募集するのが一般的です。リフォームで部屋をきれいにする、フリーレントを付けるなどの工夫で、空室期間を短くできることもあります。家賃設定の考え方は事故後に賃貸募集する手順と家賃設定をご覧ください。

ほかの入居者や近隣への配慮

同じ建物の入居者は、救急車や警察が来たことで不安を感じています。「何があったのか」と聞かれたときに備えて、亡くなった方のプライバシーに配慮しながら、どこまで説明するかを管理会社と決めておきましょう。においや害虫で迷惑をかけた場合は、清掃の予定を伝えてお詫びをすると、その後の関係が保ちやすくなります。共用部分の消毒や清掃を行ったことを掲示で知らせる方法もあります。ほかの入居者が退去を申し出ることもありますが、大家さんとしては誠実な説明と、清掃・消臭をきちんと行ったことを伝えるのが基本です。近隣への説明の仕方は事故物件の近隣からの苦情への対応も参考にしてください。

次に何をすればいい?貸し続けるか、売却するかを考える

物件ごと手放すことも、大家さんの選択肢の一つです。
物件ごと手放すことも、大家さんの選択肢の一つです。

対応のチェックリスト

  • 警察への対応記録、連絡した相手と日時をメモしている
  • 相続人・連帯保証人・保証会社・保険会社に連絡した
  • 残置物と明け渡しについて、相続人と書面で取り決めた
  • 特殊清掃・原状回復の見積もりを複数取った
  • 告知の要否と再募集の家賃を管理会社と確認した

貸し続けるのが負担なら、売却も選択肢

原状回復に多額の費用がかかる、家賃を下げても入居者が決まらない、高齢になって賃貸経営を続けるのが大変になった。このような場合は、部屋や建物ごと売却することも検討に値します。アパート一棟の場合の選択肢は事故物件になったアパートの売却で解説しています。

株式会社GEEZにご相談ください

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を当社が直接買い取っています。特殊清掃の前、残置物が残ったままの状態でもご相談いただけます。契約不適合責任は免責で買い取るため、売却後の心配も少なくなります。チラシやポータルサイトに載せないので、他の入居者や近隣に知られずに進められます。査定・相談は無料、秘密厳守です。相談フォームまたはお電話(06-7777-4333)でお気軽にお問い合わせください。