孤独死の遺品整理は「特殊清掃が先、整理は後」が基本

通常の遺品整理と何が違うのか
遺品整理とは、亡くなった方の家財や思い出の品を仕分けて、残す物・譲る物・処分する物に分ける作業です。ご家族が見守る中で亡くなった場合は、気持ちが落ち着いてからゆっくり進めることもできます。
一方、孤独死で発見が遅れた場合は事情が違います。室内に体液のしみ込みや強いにおい、害虫が残っていることがあります。この状態で家財を動かすと、においが服や遺品に移ったり、衛生上の問題が起きたりします。そのため、先に特殊清掃(汚れの除去・除菌・消臭)を行い、そのあとで遺品整理に入るのが一般的な順番です。特殊清掃の中身は特殊清掃とは?作業内容・遺品整理との違いで詳しく説明しています。
全体の流れ
- 警察の確認が終わり、部屋の鍵が返される
- 相続放棄をするかどうかの方向性を決める(財産・借金の確認)
- 賃貸なら大家・管理会社と明け渡しの時期を相談する
- 特殊清掃(汚れた部分の撤去・除菌・消臭)
- 貴重品・重要書類の捜索と、形見の選別
- 家財の搬出・処分、買取できる物の査定
- 必要に応じてリフォーム、売却や明け渡し
ご家族だけで片付けるのは慎重に
費用を抑えたいと考え、ご家族だけで片付けようとする方もいます。ただ、汚れた寝具や床材には細菌が残っていることがあり、マスクや手袋だけでは十分に防げません。また、においの元が床下や壁の中に残ると、片付け後もにおいが戻ることがあります。汚れのひどい部分は専門業者に任せ、ご家族は形見や書類の確認に集中するという分担が現実的です。
遺品整理を始める前に確認すること(相続放棄・賃貸・貴重品)

相続放棄を考えているなら「処分」はしない
亡くなった方に借金がある、または財産の状況がわからない場合は、相続放棄も選択肢になります。相続放棄は、相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる手続きです(期間を延ばす申立てもできます)。
注意したいのは、遺品を売ったり捨てたりすると「相続を認めた」とみなされることがある点です(民法921条の法定単純承認)。価値のある家財の処分や、預金の払い戻しを使い込むことは特に注意が必要です。一方、腐敗を防ぐための清掃や、明らかに価値のないごみの片付けまで一律に問題になるわけではありません。ただし線引きは事情によって変わるため、相続放棄を考えている場合は、片付けの前に弁護士・司法書士に確認してください。判断の考え方は親が孤独死したら相続放棄すべき?にまとめています。
賃貸物件なら大家・管理会社と期限を相談する
亡くなった方が賃貸住宅に住んでいた場合、賃貸借契約は亡くなっただけでは終わらず、相続人に引き継がれます。家賃は解約・明け渡しまで発生するため、いつまでに部屋を空けるかを大家・管理会社と早めに話し合いましょう。原状回復費用の負担については賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?で解説しています。
最初に探しておくべき物
- 現金・通帳・キャッシュカード・印鑑
- 権利証(登記識別情報)・固定資産税の通知書
- 保険証券・年金の書類・クレジットカード
- 借入の契約書・督促状(借金の有無を判断する材料になる)
- 遺言書(自筆の遺言書は勝手に開封せず、家庭裁判所の検認が必要な場合があります)
- スマートフォン・パソコン(ネット銀行や契約中のサービスの手がかり)
孤独死の遺品整理にかかる費用の目安

間取り別の費用目安
遺品整理の費用は、作業員の人数・作業時間・処分する物の量で決まります。下の表はあくまで一般的な目安で、物件や時期、地域、物の量で変わります。特殊清掃の費用は別にかかるのが普通です。
| 間取り | 遺品整理の目安(特殊清掃は別) |
|---|---|
| 1R・1K | 3万〜10万円程度 |
| 1DK・1LDK | 7万〜20万円程度 |
| 2DK・2LDK | 12万〜35万円程度 |
| 3DK・3LDK | 17万〜50万円程度 |
| 一戸建て(4LDK以上) | 25万〜70万円程度、物が多いとそれ以上 |
特殊清掃の費用相場は孤独死の特殊清掃の費用相場は?、間取り別の詳しい内訳は遺品整理の費用相場をご覧ください。
費用が増えやすいケース
- 物が多い、いわゆるごみ屋敷の状態になっている
- エレベーターがない、トラックを近くに停められない
- 体液がしみた布団・畳・家具が多く、処分に手間がかかる
- エアコンの取り外し、仏壇や大型家具の搬出がある
- 急ぎで日程を詰めたい
費用を抑える工夫
まだ使える家電・家具・貴金属などは、買取に回せば処分費と相殺できることがあります。ただし、相続放棄を考えている場合は、売却が「処分」にあたるおそれがあるため控えてください。また、2〜3社から見積もりを取り、作業内容が同じ条件で比べることも大切です。
遺品整理業者の選び方と、確認すべき許可

家庭のごみを運べる許可があるか
家庭から出る不用品は、法律上「一般廃棄物」にあたります。これを運ぶには、市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を持っているか、許可を持つ業者と提携している必要があります。「産業廃棄物」の許可だけでは、家庭から出たごみは運べません。見積もりの際に「処分はどこに、どの許可で運びますか」と聞くと確実です。
家財を買い取る業者であれば、古物商許可も確認しましょう。許可番号はホームページや名刺に記載されていることが多いです。
見積もりで確認すること
- 作業範囲(特殊清掃を含むか、遺品整理だけか)が書かれているか
- 「一式」だけでなく、人数・日数・処分量などの内訳があるか
- 追加料金が発生する条件が書かれているか
- 貴重品や書類が見つかったときの扱い(すぐ連絡・保管)
- 作業当日に立ち会えない場合の報告方法(写真など)
トラブルを避けるために
遺品整理では、作業後に高額な追加請求をされた、貴重品を処分された、といった相談が消費生活センターに寄せられています。契約前に見積書と契約書を書面で受け取り、不安があれば消費者ホットライン「188」に相談しましょう。トラブルの典型例は特殊清掃・遺品整理のトラブルと防ぎ方で紹介しています。
形見分けと供養はどう決める?残す物の選び方

残す物は「箱の数」を決めて選ぶ
写真や手紙、愛用の品など、捨てにくい物はたくさんあります。迷い始めると作業が止まってしまうため、「段ボール2箱分まで」など量を先に決めると選びやすくなります。写真はデータ化して、原本を減らす方法もあります。
においがついた物は、クリーニングしても完全には取れないことがあります。衣類や布製品は無理に残さず、写真に撮って記録しておくという方法もあります。
形見分けは相続の話し合いのあとに
価値のある品(貴金属・時計・骨董品など)を形見分けすると、遺産の分け方に影響することがあります。相続人が複数いる場合は、勝手に持ち帰らず、相続人同士で確認してから分けましょう。相続放棄を考えている人が価値のある物を持ち帰るのも避けたほうが安全です。
お焚き上げ・供養をしたい場合
仏壇・遺影・人形などは、そのまま処分するのに抵抗を感じる方もいます。寺社での供養や、遺品整理業者が手配するお焚き上げを利用する方法があります。費用は品物の量や依頼先で変わるため、見積もりの段階で確認しておきましょう。お部屋のお祓いについては事故物件のお祓い費用の相場もご覧ください。
孤独死の遺品整理でよくある誤解と注意点

誤解1:片付ければ事故物件ではなくなる
遺品整理や特殊清掃をしても、それだけで告知が不要になるわけではありません。国土交通省のガイドラインでは、自然死でも長期間発見されず特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、売買・賃貸のときに買主・借主へ伝える対象とされています。きれいにすることと、事実を伝えることは別の問題です。詳しくは事故物件の告知義務をご覧ください。
誤解2:大家さんに言われた期限までに全部終わらせないといけない
賃貸の場合、大家さんから早めの明け渡しを求められることはあります。ただ、相続放棄を検討している最中に急いで家財を処分すると、あとで放棄ができなくなるおそれがあります。期限が厳しいときは、相続放棄を検討中であることを伝え、清掃だけ先に進めるなど段階を分けて相談しましょう。国土交通省の「残置物の処理等に関するモデル契約条項」のように、あらかじめ受任者を決めて残置物を処理する仕組みもあります。
誤解3:見積もりが安い業者がいちばん得
見積もり額が安くても、当日に「思ったより物が多い」と追加料金がかかれば、結果的に高くつくことがあります。現地を見たうえでの見積もりか、追加料金の条件が書かれているかを確認してから選びましょう。また、亡くなった方の部屋は近隣の方も気にしています。作業時間や車の停め方に配慮してくれる業者かどうかも、選ぶときの目安になります。
次に何をすればいい?持ち家なら「遺品ごと売る」選択肢も

まずは「誰が・いつまでに・何を」を整理する
遺品整理は、相続・賃貸契約・家の今後と切り離せません。最初に次の3点をメモにしておくと、業者や専門家への相談がスムーズです。
- 相続人は誰か、相続放棄をするかどうか
- 賃貸か持ち家か(賃貸なら明け渡しの期限)
- 持ち家の場合、住む・貸す・売るのどれにしたいか
持ち家なら、片付け前に売却を相談する方法も
亡くなった方の持ち家で、今後住む予定がない場合は、遺品整理を全部終えてから売るのが唯一の方法ではありません。家財が残ったままでも買い取れる不動産会社に相談すれば、片付けと売却をまとめて進められることがあります。家財が残った状態での売却は遺品が残ったままでも売却できる?、実家の売却手順は親が孤独死した家を売るまでの手順で解説しています。
株式会社GEEZにご相談いただけること
株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件・相続物件を当社が直接買い取っています。特殊清掃の前や、遺品・家財が残ったままの状態でもご相談いただけます。古物商許可を持っているため、家財の回収もあわせて対応できます。査定・相談は無料で、秘密は厳守します。チラシやポータルサイトに載せないため、近所に知られずに売却を進められます。「片付けと売却、どちらを先にすべきかわからない」という段階でも、こちらの相談フォームまたはお電話(06-7777-4333)でお気軽にお問い合わせください。









