若い世代の孤独死の実情:警察庁データで見る年代別の人数

どんな統計なのか
警察庁は、警察が取り扱った遺体のうち「自宅において死亡した一人暮らしの者」の数を、2024年分から年単位で公表しています。令和6年(2024年)は、警察が取り扱った遺体20万4,184体のうち、自宅で亡くなった一人暮らしの人は7万6,020体(37.2%)でした。
注意したいのは、この数字は「孤独死」の数そのものではないという点です。孤独死には法律上の定義がなく、この統計には病死だけでなくさまざまな死因が含まれます。それでも、一人暮らしの人が自宅で亡くなり警察が関わったケースの規模を知るうえで、最も信頼できる公的なデータの一つです。孤独死の定義については孤独死とは?定義と孤立死との違いをご覧ください。
年代別の人数(令和6年)
| 年代 | 人数 |
|---|---|
| 20代(20〜29歳) | 780体 |
| 30代(30〜39歳) | 1,013体 |
| 40代(40〜49歳) | 2,557体 |
| 50代(50〜59歳) | 7,547体 |
| 60〜64歳 | 5,859体 |
| 65歳未満の合計 | 1万7,818体(全体の約23%) |
| 65歳以上の合計 | 5万8,044体(全体の約76%) |
(警察庁の年齢階層別の表を、当サイトで10歳ごとに足し合わせたもの。年齢不詳158体を除く)
数字から読み取れること
人数が多いのは高齢者ですが、30代・40代だけでも年間3,500体を超え、50代になると一気に増えます。「自分はまだ若いから関係ない」とは言い切れないことが、数字からわかります。統計全体の詳しい見方は孤独死の統計・件数で解説しています。
現役世代は「発見が遅れやすい」傾向

発見までの日数を年代で比べる
警察庁は、亡くなってから発見されるまでの日数別の数も公表しています。令和6年の数字をもとに当サイトで割合を計算すると、次のようになります。
| 発見までの日数 | 65歳未満 | 65歳以上 |
|---|---|---|
| 0〜1日 | 約34% | 約39% |
| 8日以上 | 約34% | 約27% |
| 31日以上 | 約13% | 約8% |
65歳未満の人は、発見まで8日以上かかった割合が約3人に1人で、65歳以上より高くなっています。1か月以上たってから見つかった割合も、高齢者のおよそ1.7倍です。
なぜ現役世代は発見が遅れるのか
高齢者の場合、介護サービスや配食サービス、民生委員の訪問など、定期的に誰かが訪れる仕組みにつながっていることがあります。一方、現役世代の一人暮らしは、仕事を休んでいる・離職している・在宅で働いているといった事情があると、毎日顔を合わせる人がいません。家族とも「元気でやっているだろう」と連絡の間隔が空きがちで、異変に気づくきっかけが少ないのです。
発見の遅れが残された人に与える影響
発見が遅れると、ご遺体の傷みが進み、家族が最後のお別れをすることが難しくなります。また、部屋には特殊清掃が必要になり、賃貸なら原状回復の費用、持ち家なら売却時の告知など、残された家族の負担も大きくなります。発見までの日数と事故物件の関係は孤独死は事故物件になる?で解説しています。
若い世代・現役世代の孤独死の背景

健康面の背景
現役世代の孤独死の背景として、心臓や脳の病気、糖尿病などの生活習慣病が指摘されています。一人暮らしで食生活が乱れていたり、忙しさから健康診断を受けていなかったりすると、病気に気づかないまま重くなることがあります。また、体調が悪くても「休めば治る」と受診を先延ばしにし、そのまま倒れてしまうケースもあります。
社会的な孤立とセルフネグレクト
失業や病気、離婚などをきっかけに人との交流が減り、孤立してしまうことがあります。孤立が深まると、食事や掃除、受診などの身の回りのことができなくなる「セルフネグレクト(自己放任)」の状態になることもあります。部屋にごみがたまる、郵便物を開けない、電話に出ないといった変化は、周囲が気づける大切なサインです。原因については孤独死の原因・なりやすい人の特徴で詳しく解説しています。
国も孤独・孤立を社会全体の課題として扱っている
2024年4月1日には「孤独・孤立対策推進法」が施行されました。孤独・孤立は本人の努力だけで解決できるものではなく、社会全体で取り組むべき問題だという考え方です。内閣府の孤独・孤立対策のページでは、悩みの内容に応じた相談窓口が案内されています。一人で抱え込まず、相談してよいということを知っておくだけでも、状況は変わります。
本人ができる孤独死の対策

健康面でできること
- 年に1回は健康診断を受け、結果で指摘された項目は放置しない
- かかりつけ医を持ち、体調の変化を相談できるようにしておく
- 強い胸の痛みや頭痛、ろれつが回らないなどの症状があれば、迷わず救急を呼ぶ
「異変に気づいてもらえる」仕組みを作る
一人暮らしの現役世代にとって大切なのは、連絡が途絶えたときに気づいてくれる人を決めておくことです。たとえば、家族や友人と「毎日1回、メッセージアプリでスタンプを送る」と決めておくだけでも、異変の早期発見につながります。スマートフォンのアプリや見守りサービスの中には、一定時間操作がないと登録した人に通知するものもあります。見守りサービスの種類は孤独死の見守りサービスで紹介しています。
緊急連絡先と書類を整えておく
賃貸の緊急連絡先、勤務先、家族の連絡先が古いままになっていないか確認しましょう。保険証券や通帳の場所、契約しているサービスのメモを残しておくと、もしものときに家族の負担を減らせます。孤独死の対策の全体像は孤独死の対策・防ぐにはをご覧ください。
家族・周囲ができること

連絡の「間隔」を決めておく
離れて暮らす子どもや兄弟が一人暮らしをしている場合、「便りがないのは元気な証拠」と考えがちです。しかし、連絡が来ないことが、実は異変のサインであることもあります。「週に1回は電話する」「既読がつかなければ連絡する」など、無理のないルールを決めておきましょう。
様子の変化に気づいたら
声に元気がない、仕事を辞めたことを話さない、部屋に人を呼ばなくなった。こうした変化があれば、責めずに話を聞くことが大切です。本人が相談しにくい場合は、自治体の相談窓口や、内閣府が案内している孤独・孤立の相談窓口を一緒に調べてみるのもよいでしょう。
経済的な不安も見逃さない
現役世代の孤立は、仕事や収入の問題と結びついていることがあります。家賃や公共料金の滞納、借金の悩みを家族に言えずにいる場合もあります。お金の話は切り出しにくいものですが、困ったときに頼れる窓口(自治体の生活困窮者の相談窓口など)があることを伝えておくだけでも、本人の安心につながります。
連絡がつかないときは
何日も連絡がつかず、心配な状態が続くときは、住まいの管理会社や警察に相談します。自分で合鍵を使って入る場合も、一人で入るのは避けましょう。通報の目安ややってはいけないことは孤独死が疑われるときのサインと通報先で解説しています。
職場や大家さんの立場でできること
現役世代の場合、異変に最初に気づくのは家族ではなく、職場の同僚や上司であることも少なくありません。無断欠勤が続き、電話にも出ないときは、緊急連絡先として登録されている家族に早めに知らせることが、早期発見につながります。賃貸住宅の大家さんや管理会社も、家賃の引き落としができない、郵便物がたまっているといった変化に気づける立場にあります。「若いから大丈夫だろう」と思い込まず、年齢に関係なく安否を確認する姿勢が大切です。大家さんができる予防策は大家ができる入居時の孤独死予防で紹介しています。
若い家族が孤独死したとき、残された家族が直面すること

賃貸住宅の場合
現役世代の一人暮らしは賃貸住宅が多く、亡くなったあとは部屋の明け渡しや原状回復が問題になります。賃貸借契約は相続人に引き継がれるため、親が相続人として大家さんと話し合うケースが多くなります。費用の負担については賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?をご覧ください。
借金や財産の確認と相続放棄
若くして亡くなった場合でも、カードローンや奨学金の残りなど、借金が残っていることがあります。相続人になったことを知った時から3か月以内なら、家庭裁判所で相続放棄の手続きができます。放棄を考えている場合は、遺品の処分を急がず、弁護士・司法書士に相談してください。
持ち家だった場合
マンションなどの持ち家で亡くなった場合は、住宅ローンの団体信用生命保険で残りのローンが返済されることがあります。そのうえで、家を相続して住むか、貸すか、売るかを考えることになります。持ち家で孤独死があった後の流れは持ち家で孤独死があった後、家はどうなる?で解説しています。
遺品の中のデジタル情報
若い世代は、ネット銀行やネット証券、電子マネー、サブスクリプションなど、紙の書類が残らない契約が多いのが特徴です。スマートフォンやパソコンのロックが解除できないと、財産や借金の全体がつかめないこともあります。メールや郵便で届く利用明細、クレジットカードの引き落とし記録などを手がかりに確認していきましょう。月額料金のかかるサービスは、早めに解約の連絡をすることで余計な支払いを防げます。
次に何をすればいい?備えと、起きてしまった後の相談先

今日からできること
- 家族や友人と、連絡の頻度やルールを決める
- 健康診断の予定を確認し、気になる症状は受診する
- 緊急連絡先と大切な書類の置き場所を家族に伝える
どれも小さなことですが、「誰かが気づいてくれる」状態を作ることが、発見の遅れを防ぐ一番の近道です。悩みや不安を一人で抱えている場合は、公的な相談窓口を頼ることもためらわないでください。
家族の住まいの問題で困ったら
ご家族が亡くなり、住まいの片付けや売却で困っている場合は、不動産の専門家に相談するのも一つの方法です。株式会社GEEZは、大阪府全域で孤独死物件・事故物件・相続物件を当社が直接買い取っています。特殊清掃の前や、家財が残ったままの状態でもご相談いただけます。査定・相談は無料、秘密厳守です。相談フォームまたはお電話(06-7777-4333、10:00〜19:00・水日定休)でお問い合わせください。









