孤独死した人の財産はどうなる?遺言と相続人の有無で決まる

まず遺言があるか、次に相続人がいるかを確認します。
まず遺言があるか、次に相続人がいるかを確認します。

財産の行き先は3つのパターン

状況財産の行き先
遺言がある原則として遺言に書かれた人へ(相続人以外への遺贈もできる)
遺言がなく、相続人がいる法定相続人が引き継ぐ。分け方は相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で決める
相続人がいない・全員が相続放棄した相続財産清算人が借金などを清算し、特別縁故者への分与を経て、残りは国庫へ

孤独死でも相続のルールは変わらない

孤独死だからといって、財産の扱いが特別になるわけではありません。ただし、孤独死の場合は家族と疎遠だった、財産の全体がわからない、借金があるかどうかもわからないということが多く、手続きが進みにくいのが実情です。警察から連絡を受けた親族が、何十年も会っていない方の相続人になっていることもあります。

プラスの財産だけでなく借金も引き継ぐ

相続では、預金や家などのプラスの財産だけでなく、借金や未払いの家賃、税金などのマイナスの財産も引き継ぎます。借金のほうが多い場合は、相続人になったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述すれば、相続放棄ができます。判断の考え方は親が孤独死したら相続放棄すべき?で解説しています。

相続人は誰?孤独死した人の相続人の探し方

相続人は戸籍をたどって確定します。
相続人は戸籍をたどって確定します。

法定相続人の順番

法律で決まった相続人(法定相続人)は、次の順番で決まります。配偶者は常に相続人になり、そのほかは上の順位の人がいなければ次の順位に移ります。

  1. 第1順位:子(子が先に亡くなっていれば孫)
  2. 第2順位:父母(父母がいなければ祖父母)
  3. 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっていれば甥・姪)

一人暮らしで配偶者も子もいない高齢の方の場合、両親はすでに亡くなっていることが多いため、兄弟姉妹や甥・姪が相続人になるケースがよくあります。内縁の配偶者や、長年お世話をしてきた友人は、法定相続人にはなりません。

戸籍を集めて相続人を確定する

相続人を確定するには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍をすべて集め、子や兄弟姉妹がいるかを確認します。2024年3月1日からは、本籍地が遠方でも、最寄りの市区町村の窓口で自分や親・子などの戸籍をまとめて請求できる「広域交付」が始まっています。ただし兄弟姉妹の戸籍などは対象外のため、本籍地への請求が必要になることがあります。戸籍の収集に手間がかかる場合は、司法書士や行政書士に依頼することもできます。

疎遠な親族から突然連絡が来たら

警察や役所、大家さんから「親族の方が亡くなりました」と突然連絡が来ることもあります。相続人になった場合でも、すぐに財産や部屋のものに手を付けず、まず財産と借金の状況を確認しましょう。対応の考え方は疎遠な親族の孤独死の連絡が来たらで解説しています。

孤独死した人の預金・現金はどうなる?

預金は、金融機関が死亡を知ると引き出しができなくなります。
預金は、金融機関が死亡を知ると引き出しができなくなります。

銀行口座は凍結され、相続の手続きで払い戻す

金融機関は、口座の名義人が亡くなったことを知ると、その口座での入出金を止めます(いわゆる口座の凍結)。凍結された預金は、遺言書や遺産分割協議書、戸籍などの書類をそろえて相続の手続きをすることで、相続人が払い戻しを受けられます。どの金融機関に口座があったかわからない場合は、自宅に残った通帳やキャッシュカード、郵便物から手がかりを探します。

葬儀費用などは「仮払い制度」が使える場合がある

遺産分割の話し合いがまとまる前でも、相続人は一定の額まで預金の払い戻しを受けられる制度があります。目安は、金融機関ごとに「相続が始まったときの預金額×3分の1×その相続人の法定相続分」で、1つの金融機関につき150万円が上限です。葬儀費用などで急いでお金が必要なときに使えますが、払い戻しを受けると相続を認めたとみなされることがあるため、相続放棄を考えている場合は事前に専門家に確認してください。

遺言書があるかを確認する

遺言書は、自宅に保管されているほか、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」で預けられていることや、公証役場で公正証書遺言として作られていることもあります。相続人などは、法務局や公証役場で遺言書があるかどうかを調べることができます。自宅で封のされた遺言書を見つけた場合は、勝手に開けず、家庭裁判所の検認の手続きが必要です(法務局に預けられた遺言書や公正証書遺言は検認不要)。

孤独死した人の家・不動産はどうなる?

家は相続人が引き継ぎますが、管理や相続登記の義務も生じます。
家は相続人が引き継ぎますが、管理や相続登記の義務も生じます。

相続人が引き継ぎ、相続登記が必要

亡くなった方の持ち家は、預金と同じように相続人が引き継ぎます。2024年4月1日から相続登記が義務になり、不動産を取得したことを知った日から3年以内に名義変更の登記を申請しなければなりません。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。施行前に起きた相続も対象で、2027年3月31日までの猶予があります。

発見が遅れた家は「事故物件」として扱われることがある

病死などの自然死で早く見つかった場合、国土交通省のガイドラインでは原則として告知は不要です。一方、長く発見されず特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合は、売るときや貸すときに告知が必要になり、価格に影響することがあります。持ち家で孤独死があった後の選択肢は孤独死があった持ち家はどうなる?、実家の売却の手順は親が孤独死した実家を売るまでの手順で解説しています。

相続放棄しても管理の責任が残ることがある

相続放棄をすれば家を引き継ぐことはありませんが、2023年4月施行の改正民法では、放棄のときに家を実際に占有している人は、次の相続人や相続財産清算人に引き渡すまで、その家を保存する義務を負うとされています。たとえば亡くなった方と同居していた家族などが当たり得ます。空き家を放置するリスクは孤独死後の空き家をご覧ください。

相続人がいない場合:相続財産清算人と国庫への帰属

相続人がいない財産は、家庭裁判所の手続きを経て最終的に国のものになります。
相続人がいない財産は、家庭裁判所の手続きを経て最終的に国のものになります。

相続財産清算人とは

相続人がいるかどうかわからない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合は、家庭裁判所が相続財産清算人を選びます。2023年4月の民法改正前は「相続財産管理人」と呼ばれていました。清算人は多くの場合弁護士などの専門家で、亡くなった方の財産を調べ、借金や未払いの家賃などを支払い、残った財産を国庫に納める役割を担います。

誰が申し立てるのか、費用は

清算人の選任を申し立てられるのは、亡くなった方にお金を貸していた人や大家さんなどの利害関係人と、検察官です。裁判所の案内では、申立てには収入印紙800円分、連絡用の郵便切手、官報公告料などが必要とされています。さらに、財産が少なく清算人の費用や報酬が足りないと見込まれる場合は、申立人が予納金を納めるよう求められることがあります。金額は事案によって違うため、申立て先の家庭裁判所に確認してください。

清算から国庫に入るまでの流れ

  1. 家庭裁判所が相続財産清算人を選び、相続人を捜すための公告をする(6か月以上の期間)
  2. 清算人が債権者や遺言で財産を受け取る人に申し出るよう呼びかけ、借金などを支払う
  3. 期間内に相続人が現れなければ、相続人がいないことが確定する
  4. 特別縁故者(生計を同じくしていた人、療養看護に努めた人など)は、期間満了後3か月以内に財産分与を申し立てられる
  5. 残った財産は国庫に納められる

家などの不動産は、清算人が家庭裁判所の許可を得て売却し、お金に換えてから清算することが多くあります。このため、相続人がいない孤独死物件が売りに出されるときは、清算人が売主になります。手続き全体には、公告の期間だけでも半年以上かかり、財産の調査や売却を含めると、さらに長くなることがあります。

孤独死と財産についてよくある誤解と注意点

善意の行動が、相続の判断に影響することがあります。
善意の行動が、相続の判断に影響することがあります。

誤解1:親族なら部屋のお金や物を持ち出してよい

相続人であっても、相続放棄をするかどうか決める前に預金を引き出したり、部屋の家財を売ったり処分したりすると、相続を認めた(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条)。借金があるかもしれない場合は、財産には手を付けず、まず調べることを優先してください。

誤解2:相続人がいなければ、大家や近所の人がもらえる

相続人がいない財産は、自動的に身近な人のものになるわけではありません。長年同居していた内縁の配偶者や、献身的に介護をしてきた方は、家庭裁判所に申し立てて特別縁故者として財産の分与を受けられる場合がありますが、認められるかどうかや額は裁判所が判断します。単に葬儀や法事を行っただけでは特別縁故者と認められないこともあります。

誤解3:全員が相続放棄すれば、すぐに片付く

相続人全員が相続放棄をしても、財産や部屋がすぐに片付くわけではありません。大家さんにとっては、部屋の家財を誰が処分するのか、未払いの家賃を誰に請求するのか、という問題が残ります。この場合は、清算人の選任を申し立てるか、入居時に国土交通省の「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を使って取り決めておく方法があります。賃貸での費用負担の考え方は賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?をご覧ください。

孤独死した人の財産で困ったら、次に何をすればいいか

財産・借金・住まいを分けて整理すると、次の一歩が見えてきます。
財産・借金・住まいを分けて整理すると、次の一歩が見えてきます。

まず財産と借金の全体をつかむ

通帳、郵便物、契約書、固定資産税の通知書などから、預金・不動産・保険・借金を一覧にしてみましょう。そのうえで、相続するか相続放棄するかを3か月以内に決めます。期間内に判断できない場合は、家庭裁判所に期間を延ばす申立てもできます。法律の判断は弁護士・司法書士に、税金は税理士に確認してください。

家は「誰が引き継ぐか」「どうするか」を早めに決める

相続人が複数いて意見がまとまらない場合は、兄弟で相続して揉めたときや共有名義の事故物件の持分売却も参考になります。空き家のまま置いておくと、固定資産税や管理の手間がかかり続けます。建物が傷んで周りに被害を与えた場合、所有者は過失がなくても責任を負うことがあります(民法717条の工作物責任)。住む予定がないなら、売却や解体を含めて早めに方向性を決めておくと、相続人どうしの負担も小さくなります。

孤独死があった家の売却はご相談ください

株式会社GEEZは、大阪府全域で孤独死物件・事故物件・相続物件・共有持分を直接買い取っています。特殊清掃の前や、遺品・家財が残ったままでもご相談いただけます。古物商許可があるため家財の回収もあわせて行えます。契約不適合責任は免責で買い取り、査定・相談は無料、秘密厳守です。相談フォームまたはお電話(06-7777-4333)でご連絡ください。