孤独死保険とは?家主型と入居者型の2種類がある

孤独死保険は商品名ではなく、孤独死に備える保険や特約の総称です。
孤独死保険は商品名ではなく、孤独死に備える保険や特約の総称です。

孤独死保険は「孤独死で生じる費用」に備える保険の総称

孤独死保険は、特定の保険の名前ではありません。賃貸住宅で入居者が亡くなったときに生じる原状回復の費用、遺品の整理費用、空室になった期間の家賃の損失などを補う保険や特約を、まとめてこう呼んでいます。少額短期保険として売られているもの、火災保険や家財保険の特約として付けるものなど、形はさまざまです。

家主型と入居者型の違い

項目家主型入居者型
契約する人大家さん(オーナー)・管理会社入居者(多くは家財保険とセット)
主に補うもの家賃の損失、原状回復・特殊清掃の費用など大家の損害遺品整理や原状回復など、相続人が負担する費用
保険金を受け取る人大家さん相続人など(商品により異なる)
対象になる部屋契約したアパート・マンションの住戸(一棟単位の商品が多い)入居者が住む部屋
大家にとっての利点入居者を問わず自分で備えられる入居者側で費用が出るため、相続人との話し合いが進みやすい

どちらを選ぶかは物件と入居者で決まる

高齢の入居者が多い物件や、身寄りの少ない方の入居を受け入れる物件では、大家さん自身で備えられる家主型の安心感が大きくなります。入居者型は、賃貸契約のときに加入する家財保険に特約として付いていることが多く、入居者が負担する保険料で備えられます。両方を組み合わせると、大家さんの損失と相続人の負担の両方に備えられます。なお、分譲マンションの一室を貸している場合や、戸建てを貸している場合でも、家主型に加入できる商品があります。物件の種類や戸数によって加入の条件や保険料の決め方が違うため、管理会社や保険代理店に、自分の物件で入れる商品を比べてもらうと選びやすくなります。

孤独死保険の補償内容:何が補償されるのか

補償の範囲や上限額は商品によって大きく違うため、契約前に必ず確認しましょう。
補償の範囲や上限額は商品によって大きく違うため、契約前に必ず確認しましょう。

家主型の主な補償

家主型の孤独死保険でよく見られる補償は、次のようなものです。どこまで含まれるか、上限額はいくらかは商品によって違います。

  • 家賃の損失:亡くなったことで空室になった期間の家賃や、告知が必要になり家賃を下げて貸した場合の差額
  • 原状回復の費用:床や壁の張り替え、設備の交換など、部屋を貸せる状態に戻す工事費
  • 特殊清掃・消臭の費用:体液の除去や消臭など、通常の清掃では対応できない作業の費用
  • 遺品・残置物の処理費用:相続人が引き取らない家財の撤去費用
  • 事故対応の費用:お祓いや供養など、商品によっては含まれるもの

入居者型の主な補償

入居者型は、入居者が亡くなったときに、相続人などが負担することになる遺品整理や原状回復、特殊清掃の費用を補うものが中心です。家財保険の特約として付いている場合は、火災や水漏れなどの補償とあわせて加入していることになります。相続人が相続放棄をした場合の扱いなど、細かな条件は商品ごとに違います。

費用の目安を知っておく

特殊清掃や原状回復の費用は、発見までの日数、季節、部屋の広さ、床下や壁の中まで汚れが及んでいるかで大きく変わります。ワンルームでも数十万円、汚れが広がっていればそれ以上かかることがあります(あくまで目安で、物件や時期で変わります)。相場の考え方は孤独死の特殊清掃の費用相場、保険でどこまで払えるかは特殊清掃は保険で払えるかで解説しています。

孤独死保険で補償されにくいケースと注意点

加入していても、条件によっては保険金が出ないことがあります。
加入していても、条件によっては保険金が出ないことがあります。

契約前から入居していた方や、対象外の死因

家主型の中には、保険の始まりより前から住んでいる入居者は対象外としたり、一定の期間を過ぎるまで補償しないとしたりする商品があります。また、自殺や事件による死亡の扱いも商品によって違い、補償の対象とするものもあれば、加入から一定期間は対象外とするものもあります。「孤独死保険に入っているから大丈夫」と思わず、約款(契約の細かな条件)で対象と対象外を確認してください。

上限額と自己負担

補償には、1回の事故あたり、または項目ごとの上限額があります。家賃の損失も、何か月分まで、いくらまでと決まっているのが一般的です。汚れが広がって原状回復の費用が上限を超えた場合は、超えた分は大家さんの負担になります。部屋数の多いアパートでは、一棟でいくらまでという決め方の商品もあるので注意しましょう。また、隣の部屋ににおいが移って借主が退去した、といったほかの住戸への影響が補償の対象になるかどうかも、商品によって分かれるところです。共用部分の清掃や、隣室の消臭費用まで含まれるかを確認しておくと安心です。

連絡や請求が遅れると不利になることがある

多くの保険では、事故が起きたら速やかに保険会社へ連絡することが求められています。保険会社の確認の前に工事を進めてしまうと、費用が妥当かどうか確認できず、支払いの判断に影響することがあります。発見後はまず保険会社に連絡し、室内の写真や見積書を残してから作業を進めるのが基本です。

大家が孤独死保険を選ぶときのポイント

保険料の安さより、自分の物件で起こり得る損失に合っているかで選びます。
保険料の安さより、自分の物件で起こり得る損失に合っているかで選びます。

補償の範囲が自分の物件に合っているか

まず、自分の物件で孤独死が起きたときに何にお金がかかるかを考えます。単身の高齢者が多いワンルームなら、原状回復と家賃の損失が中心です。築年数が古い物件で家賃を下げざるを得ない場合は、家賃の値下げ分(差額)まで補償されるかが大事なポイントになります。告知が必要になった部屋は、賃貸ではおおむね3年は告知の対象になり得るため、その間の家賃の影響も考えておきましょう。

  1. 家賃の損失は何か月分・いくらまでか、値下げの差額も対象か
  2. 原状回復・特殊清掃・遺品整理の上限額はいくらか
  3. 既存の入居者も対象になるか、補償が始まるまでの期間はあるか
  4. 自殺や事件による死亡はどう扱われるか
  5. 一棟単位か一室単位か、保険料はどう決まるか

入居者型の加入状況を確認する

管理会社を通じて入居者に家財保険へ加入してもらっている場合は、その保険に孤独死の特約が付いているかを確認しましょう。入居者型で相続人側の費用が出れば、原状回復の話し合いがまとまりやすくなります。家主型と入居者型で補償が重なる部分と、どちらにも含まれない部分を整理しておくと、無駄なく備えられます。

保険とあわせて入居時の取り決めを整える

保険はお金の備えですが、亡くなった後に部屋の家財を誰が処理するか、契約をどう終わらせるかという問題は残ります。国土交通省が2021年6月に公表した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を使うと、入居者が亡くなったときの契約の解除や家財の処理を、あらかじめ決めた受任者が行えるようになります。入居時の予防策は大家ができる孤独死予防でくわしく解説しています。

孤独死が起きたときの保険請求の流れ

保険会社への連絡と記録の保存を先に行うと、請求がスムーズに進みます。
保険会社への連絡と記録の保存を先に行うと、請求がスムーズに進みます。

発見から保険会社への連絡まで

  1. 警察による確認が終わり、部屋に入れるようになる
  2. 加入している保険の保険会社(代理店)に連絡し、事故の受付をしてもらう
  3. 室内の状況を写真で残す(作業前の状態がわかるように)
  4. 特殊清掃・原状回復の見積もりを取り、保険会社に提出する
  5. 保険会社の確認を経て作業を行い、請求書類を提出する

においや害虫が近隣に広がっている場合は、消臭などの応急的な作業を先に行う必要があることもあります。その場合も、作業前に保険会社へ相談し、写真を残しておきましょう。

相続人・連帯保証人との話し合い

保険で補えない費用や、未払いの家賃は、相続人や連帯保証人と話し合うことになります。相続人が相続放棄をした場合は、相続人に費用を請求できなくなることがあります。誰が何を負担するかの考え方は賃貸で孤独死したら損害賠償は誰が払う?で解説しています。請求の可否は事情によって違うため、弁護士にも確認してください。

再募集と告知

原状回復が終わったら再募集ですが、長く発見されず特殊清掃を行った場合は、借主への告知が必要です。国土交通省のガイドラインでは、賃貸は発覚からおおむね3年がたてば原則として告知不要とされています。大家さん向けの対応全体は大家向け孤独死対応マニュアルにまとめています。

孤独死保険についてよくある誤解

保険の仕組みを正しく知ることで、必要以上の不安や過信を防げます。
保険の仕組みを正しく知ることで、必要以上の不安や過信を防げます。

誤解1:火災保険に入っていれば孤独死も補償される

通常の火災保険は、火事や水漏れ、風災などの建物の損害に備えるものです。孤独死による汚れや家賃の損失は、特約を付けていなければ補償されないのが一般的です。今の契約に孤独死や原状回復に関する特約が付いているか、保険証券や代理店で確認してみてください。

誤解2:保険があれば入居者の見守りはいらない

保険が補うのはお金の損失です。発見が遅れれば、特殊清掃の費用がかさむだけでなく、近隣の住戸へのにおいや害虫の影響、事故物件としての告知など、保険だけでは解決しない問題が増えます。保険と見守りは両輪と考え、見守りサービスも検討しましょう。

誤解3:孤独死があれば必ず事故物件になる

病死などの自然死で早く見つかった場合は、ガイドライン上、原則として告知は不要です。告知が必要になるのは、長く発見されず特殊清掃や大規模なリフォームが行われた場合などです。くわしくは孤独死は事故物件になる?をご覧ください。

孤独死保険を検討したら、次に何をすればいいか

保険で備えたうえで、物件の将来の選択肢も考えておきましょう。
保険で備えたうえで、物件の将来の選択肢も考えておきましょう。

今の保険の内容を確認する

まずは、加入している火災保険や、入居者に加入してもらっている家財保険の内容を確認しましょう。孤独死に関する特約があるか、家賃の損失や原状回復がどこまで補償されるかを把握したうえで、足りない部分を家主型の孤独死保険で補うのが無駄のない進め方です。あわせて、入居者の緊急連絡先が最新になっているか、連帯保証人を付けている契約に極度額(保証の上限額)を定めているかも確認しておきましょう。2020年4月1日以降に結ばれた契約で極度額の定めがない個人の連帯保証は無効になります。

すでに孤独死が起きてしまった物件は

孤独死が起きた部屋の原状回復や再募集に悩んでいる、アパート全体の売却も考えたい、という大家さんもいらっしゃいます。選択肢の考え方は事故物件のアパートを売却するには、賃貸を続ける場合は事故後の賃貸募集と家賃設定をご覧ください。

売却も含めて検討したい方はご相談ください

株式会社GEEZは、大阪府全域で事故物件・孤独死物件を直接買い取っています。一室だけの区分マンションでも、アパート一棟でもご相談いただけます。特殊清掃の前や、家財が残ったままの状態でもかまいません。契約不適合責任は免責で買い取り、査定・相談は無料、秘密厳守です。相談フォームまたはお電話(06-7777-4333)でご連絡ください。